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<八戸工大>アイデア育む自由空間「A−カフェ」開設 震災犠牲の卒業生の家族からの寄付金活用

A−カフェで自習する学生。震災関係の本を並べた文庫もある

 青森県八戸市の八戸工業大土木建築工学科に本年度、学生同士が気軽に議論や情報交換できるアクティブラーニングルーム「自由空間『A−カフェ』」が開設された。整備には、東日本大震災の津波で犠牲になった卒業生の家族からの寄付金を活用。学生らは感謝の思いを込めてカフェを利用する。

 カフェは「本やアートに囲まれた自由空間」をテーマに、資料室を改装して整備。広さ97.5平方メートルで、勾玉(まがたま)形の机やプロジェクター、ホワイトボードを備え、学生の優秀作品や資料教材などが展示されている。カフェの別名には、卒業生の名前も入っている。
 室内には図書スペースもあり、資料室にあった建築設計関連の本の一部を並べた。防災教育を充実させるため、寄付金で購入した震災や防災関連の書籍50冊ほどを並べた文庫も設けた。
 気軽に友達と話ができてくつろげるため、学生にも好評だ。防災関係の研究室に所属する土木建築工学科4年の根本采佳(あやか)さん(21)は「居心地のいい場所。(寄付してくれた)気持ちはとてもありがたい。将来は防災面で役に立つ人間になりたい」と話した。
 卒業生は2010年3月に建築工学科(当時)を卒業し、石巻市の会社に就職。11年3月11日、仕事中に車を運転していた際、震災の津波に巻き込まれて亡くなった。
 卒業生の家族が同12月、「建築系学生の教育に役立ててほしい」と大学に500万円を寄付。大学内で検討した結果、学生が自由に学べる場をつくることを決め、開設した。
 寄付金活用を検討した委員会のトップを務めた月永洋一教授は「設計のアイデアを豊かにしてもらえるように展示やオブジェを配置した。卒業生の家族の思いが生きるようにカフェを整備した」と語った。


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2018年06月07日木曜日


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