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<旧優生保護法国賠訴訟>国「救済立法の義務なし」 仙台地裁弁論で主張へ

 旧優生保護法(1948〜96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題を巡り、手術を強制された宮城県の60代女性が国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、国が被害補償の法的義務を否定する趣旨の反論を予定していることが7日、女性側弁護団への取材で分かった。仙台地裁で13日に開かれる第2回口頭弁論で陳述するとみられる。
 旧法を巡る国家賠償請求訴訟で、国が詳細に反論・主張するのは初めて。
 弁護団によると、国は13日の弁論に提出予定の書面で「救済措置を講じなかった立法不作為の違法性が認められるのは、国民への権利侵害が明白な極めて例外的な場合に限られる」と強調。立法行為は国会の裁量に委ねられ、「補償制度を作る義務はない」と反論している。
 補償責任については「国会の立法行為は国民全体への政治責任を負うが、原則として個別の国民には対応しない」と指摘。被害補償を求める場合は国家賠償法に基づき個別に請求でき、「補償立法は必要不可欠ではない」とした。
 女性は憲法13条が保障する幸福追求権の侵害も主張しているが、国は旧法の違憲性に関する言及は避ける見通し。弁護団長の新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は「国は憲法違反の法律下で違法な手術が行われた根幹部分に答えず、小手先の答弁に終始している。人権侵害に向き合い、反省する姿勢がかけらも見えない」と批判した。
 訴えによると、女性は15歳時に「遺伝性精神薄弱」を理由に不妊手術を受け、30歳前に手術が原因とみられる卵巣膿腫で右卵巣を摘出した。13日の弁論では、5月17日に旧法を巡る同様の訴訟を仙台地裁に起こした宮城県の70代女性の審理が併合される。同訴訟でも国は請求棄却を求める答弁書を提出する方針。
 同種訴訟は東京、札幌の両地裁でも起こされているほか、他地域にも提訴の動きがある。

[旧優生保護法]「不良な子孫の出生防止」を掲げ1948年に施行。ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に本人の同意がない不妊手術を認めていた。ハンセン病患者は、強制隔離政策の下で戦前から療養所で断種や中絶を強要されていた状況があり、旧法で対象として規定。本人同意に基づく手術を容認した。96年に差別的条項を削除した「母体保護法」に改定されるまで、障害者ら約2万5千人に不妊手術が行われ、うち1万6500人は強制だったとされる。


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2018年06月08日金曜日


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