宮城のニュース

<おだやかな革命>渡辺監督「暮らしの選択、自治の第一歩」

[わたなべ・さとし]1981年、鶴岡市生まれ。東北芸術工科大卒。映画製作会社勤務などを経て、2008年ドキュメンタリー映画監督デビュー。12年の「よみがえりのレシピ」は香港国際映画祭やハワイ国際映画祭で招待上映された。17年「おだやかな革命」製作。

 渡辺監督に製作の意図や見どころなどを聞いた。(聞き手は報道部・長谷美龍蔵)

 −タイトルにはどんな思いが込められていますか。

 「東京電力福島第1原発事故後、ご当地電力の広がりを知り『これだ!』と思った。小規模でも地域が発電所を持ち、都会に売電して地域経済を回すということは、中央集権的な発想を脱し、ボトムアップで社会を変えていくことだ。しかも、この動きは何かの否定や反対運動とは異なり、建設的で着実に広がっている。一見、穏やかではあるが、革命的な動きに思えた」

 −作品の見どころは。

 「映画には20代の若者からシニアまで、元外資系社員の移住者から老舗酒蔵のオーナーまで、多様な年代と経歴の人々が登場する。それぞれ違う場所で発電事業に取り組むが、地域経済の手綱を取り戻す目的は共通する。それぞれの動きが一つの物語として連なっていく所を見てほしい」
 「個人的には原発のない社会の実現に興味があるが、『脱原発』がテーマではない。成長一辺倒から人口減少の時代に入り、暮らし、経済、エネルギーの自治が求められる中、自分にも何かできるというヒントが詰まった作品。お金やモノ以外の価値観で動き始めた人々が、こんなにもたくさんいると実感できる」

 −仙台のような大都市にも「おだやかな革命」はありますか。

 「地域の将来のため自分が汗をかくという、自治の精神を取り戻す動きは大都市も同じ。消費者意識を生活者意識に切り替え、暮らしをどう選択するかは自治の第一歩だ。電力小売り自由化で、顔の見える関係で電気が買えるようになった。電気の選択は映画でも重要な柱として描いている」


2018年06月08日金曜日


先頭に戻る