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<除染土活用>はや風評 売れぬ飼料 二本松の道路造成事業、計画段階の被害に困惑

除染土を再利用して造成が計画されている市道

 東京電力福島第1原発事故で発生した除染土を福島県二本松市の道路造成に再利用する環境省の実証事業で、予定地周辺の稲を使った家畜用発酵飼料を手掛ける市内の生産組合が、取引先から購入を拒まれていることが7日、分かった。事業の計画段階から地域に風評被害が生じた格好だ。組合は市と対応を協議する。

 事業予定地は同市原セ才木(はらせさいき)地区。飼料は市内の畜産農家5戸でつくる安達太良飼料生産受託組合が生産主体となり、一部を外部に販売している。原料の稲は周辺を含む稲作農家約35戸から購入している。
 高野一弘組合長によると、昨年飼料を販売した県内の大規模畜産農家から5月上旬、「そういう餌は要らない」と連絡があった。理由について「除染土再利用事業の影響を不安視する顧客から問い合わせがあった」といった趣旨の説明を受けたという。
 関係者によると、組合は稲作農家との契約上、少なくとも今年収穫の飼料用稲を買い取る必要がある。将来的に仕入れ先を事業予定地周辺以外にすることは、輸送費用や作業効率の面から現実的でないという。
 組合は昨年、生産した飼料の3分の1を外部に販売。約180万円の売り上げがあった。今年は風評の広がり次第で、販売先が見つからない恐れがある。
 高野組合長は「原発事故直後のような風評被害はやっと収まってきたのに、これでは同じことの繰り返しだ。原セ才木で実証事業をやる必要がどこにあるのか」と憤る。
 環境省はこれまで「放射性物質濃度が高い土は除き、十分な厚さのアスファルトなどで覆う。安全性は確保できている」との主張を繰り返している。
 市除染推進課の担当者は取材に「事業主体はあくまでも環境省」と説明。組合の支援策として、飼料ニーズのある畜産農家の情報提供などを検討する考えだ。
 実証事業では市内から出た除染土約500立方メートルを市道の盛り土に使う方針。当初は5月に測量調査に入る予定だったが、地元住民の反対などで調整が続いている。

[環境省の実証事業]最大2200万立方メートルと推計される除染土の最終処分量を減らすため、再生利用の手法を確立するのが狙い。2016年12月に南相馬市小高区で始まり、空間放射線量の変化などを確認する試験盛り土を実施した。二本松市原セ才木地区と福島県飯舘村長泥地区でも予定する。除染土の放射性物質濃度は1キロ当たり8000ベクレル以下を原則とし、用途や工事規模に応じて引き下げる。


2018年06月08日金曜日


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