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<宮城県沖地震40年>海底の地殻変動観測強化 海保測量船 宮城県沖、釜石沖で調査

海底基準局からの音波を調べる海保の観測員。洋上を航行し、地道にデータを収集する=測量船「海洋」

 宮城県沖地震や東日本大震災など海溝型地震の発生に備え、海上保安庁は地殻変動を調べる海底基準局の観測体制を強化している。プレートの動きは、地震の長期予測やメカニズムを解析する上で不可欠なデータだ。宮城県沖と釜石沖で調査を重ねる測量作業の最前線を取材した。(報道部・菅谷仁)

 5月29日、東京都港区台場に係留された海保の中型測量船「海洋」(550トン、乗員38人)の内部に入った。観測室には衛星利用測位システム(GPS)と、船底から音波を出して海底基準局の距離と深さなどを割り出す装置が備え付けられている。
 海底から反響音を拾い、一定期間でどの程度動いたかを調べる。到着するまで数日かかる地点もあり、観測には1基準局につき8〜10時間を要する。海保海洋情報部の石川直史火山調査官は「地味で根気のいる作業だが、地震の発生リスクを明らかにする上で欠かせない」と話す。
 三陸から福島県沿岸にかけて日本海溝では、太平洋プレートが陸側プレートの下に潜り込んでいる。プレートが強く巻き込まれた部分の動きは大きく、引っ掛からずに潜り込む部分は小さい。動きが大きい部分はゆがみが蓄積されていると推測され、このゆがみが解放される際に地震が発生すると考えられている。
 日本列島の陸地では国土地理院が約1300基の装置で地殻変動を計測しているが、海側は観測環境の整備が遅れている。海保は震災後、海底基準局を9カ所増設するなどし、本州と四国、九州の太平洋側全域をカバーする観測体制づくりを急いでいる。
 震災で宮城沖の基準局は日本海溝側に24メートル動き、牡鹿半島の陸上で計測した約4倍の数値と判明。12〜14年には宮城県沖と釜石沖の海底が、逆方向の海溝側から陸地に動いた分析結果も明らかになった。
 結果を基に東北大の研究チームが調査を重ねており、石川調査官は「より海溝に近い海底の動きは、地震予測にとって重要な指標になる。丁寧にデータを積み上げたい」と話す。

[海底基準局]日本列島沖の陸側プレート海底に固定された観測器具。沖合約40〜100キロに設置され、プレートの動きを1センチ単位で調べる。海上保安庁が2000年に設置を開始し、18年5月末現在、三陸沖合を中心に東日本8局、相模湾から西の東南海トラフ沿い16局の計24カ所。データは政府の地震調査研究推進本部などで、宮城県沖地震や東南海トラフ地震の長期予測に活用される。


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2018年06月09日土曜日


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