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<宮城県沖地震40年>再来リスク(上)発生予測 間隔「早まる」可能性 手掛かり探し模索続く

海底変動の分析結果を確認する日野教授。「次の大地震の手掛かりを得たい」と語る=仙台市青葉区の東北大地震・噴火予知研究観測センター

 国や東北各県が防災体制を見直すきっかけとなった宮城県沖地震の発生から、12日で40年となる。2011年3月11日の東日本大震災後も、科学者は宮城県沖を含めた太平洋側で大地震や大津波が起こりうるとして、警鐘を鳴らし続ける。「6.12」の教訓を振り返りながら「3.11」後の備えを検証する。(報道部・小沢邦嘉)

<確率「不明」>

 再来を繰り返してきた宮城県沖地震は今後、いつごろ起きるのか。16年5月、一つの研究成果が英科学誌に掲載された。
 「東日本大震災の大地震の後、再来の間隔は短くなる可能性がある」。国の研究機関・海洋研究開発機構のチームが、約4年かけてスーパーコンピューターで解析した成果だった。
 3.11の巨大地震では、宮城県沖地震の震源域も含めた広い範囲で岩盤が動いた。地殻変動の状況は詳しく分からず、政府の地震調査委員会は11年秋、「30年以内に99%」としていた宮城県沖地震の発生確率を「不明」と修正した。
 「確率が不明のままでは油断につながりかねない」。海洋機構の中田令子特任技術研究員(地震学)らは「次の想定」の必要性を感じ、研究に着手した。
 過去の震源域やプレートの滑りやすさなどを基に、3.11のようなマグニチュード(M)9規模の地震後、宮城県沖でM7級が起きるさまざまなケースを計算。11年を起点にすると、多くのケースで平均の発生間隔(約37年)よりも短い間に大地震が想定される結果になったという。
 巨大地震後、東北では海底がゆっくり動く「余効滑り」という現象が確認されている。これを発生予測の計算に考慮すると、地震につながる岩盤のひずみの蓄積が早まるケースが目立ったのが要因だ。
 研究について東北大の松沢暢(とおる)教授(地震学)は「不確定要素もあり決定的なことは言えないが、とても丹念な計算ではある」と評価。「3.11の余震も含めると、東北の太平洋側でM7級の地震が数年に1度起きてもおかしくない状況にある」との見解を示す。

<海底も変形>

 海底の地殻変動を実測し、次に備える手掛かりを得ようという試みも進む。
 東北大などの研究グループは12年から日本海溝近くの20カ所で、衛星利用測位システム(GPS)と音波の測量技術を組み合わせた観測を展開。うち1カ所は、200キロメートルほど離れた地点に置いた。
 海溝の東側を震源とし、大きな津波を伴うとされる「アウターライズ地震」に警戒するのが狙いだ。東北大の日野亮太教授(海底地震学)は「海底の動きも速く変形が続いており、活発な地震活動が継続する可能性がある」と注視する。
 日野教授は宮城県沖や、1968年の十勝沖地震の震源に近い岩手・青森沖でも観測を強化する必要性を感じている。「長期戦を覚悟し、広い範囲で観測したい」。過去の大地震に向き合い、将来発生する兆候をつかむための模索が続く。

[宮城県沖地震]1978年6月12日午後5時14分、宮城県沖でマグニチュード(M)7.4の地震が発生。当時の基準で大船渡、石巻、仙台、新庄、福島で震度5を観測した。死者28人、負傷者は1万人を超え、住宅の全半壊は約7500戸。建物の耐震基準が大幅に見直されるなど、国が防災体制を改めるきっかけになった。


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2018年06月09日土曜日


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