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<旧優生保護法>障害理由の中絶 宮城県内969件 旧法下で強制の可能性

 旧優生保護法(1948〜96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題に絡み、宮城県内で妊娠女性らの精神疾患や遺伝性疾患を理由とした人工妊娠中絶が少なくとも969件あったことが、県公文書館の所蔵資料で分かった。旧法は妊娠女性に精神障害がある場合、本人同意を得ない中絶を認めており、優生思想に基づく強制中絶が行われた可能性がある。
 明確な記録が残る1950年以降、旧法に基づく障害が理由の中絶と強制不妊・避妊手術の件数推移はグラフの通り。強制不妊・避妊手術が急減した73年以降も障害が理由の中絶は毎年4〜37件実施され、母体保護法に改定される96年まで続いた。
 旧法の中絶要件は(1)本人か配偶者の遺伝性・精神疾患(2)血縁者の遺伝性・精神疾患(3)ハンセン病(4)母体の身体的・経済的理由(5)暴行による妊娠−で、要件を満たさない中絶は堕胎罪に問われた。(1)〜(3)の要件は優生思想に基づく差別規定だとして、母体保護法への改定時に削除。現在は(4)か(5)の要件でのみ認められる。
 旧法施行当初の中絶は、本人同意を前提に指定医師の申請を受けた地区優生保護委員会が「(中絶が)強制でないかどうか審査の上で適否を決定する」とされた。この審査制度は、手続きの煩雑さから非合法中絶が横行したため52年に廃止され、要件を満たせば医師の判断で可能になった。女性に精神障害がある場合は、保護者の同意で実施を認めた。
 70年代以降も精神障害などを理由とした中絶が続いた背景について、旧法下の中絶問題に詳しい園田学園女子大(兵庫県尼崎市)の山本起世子教授(社会学)は「70年代は優生思想への批判が強まり始めた一方、出生前診断も普及し始めた時期。旧法が掲げた『不良な子孫の出生防止』に、不妊・避妊手術に代わり中絶で対応しようとした可能性がある」と指摘する。
 旧法下の中絶を巡っては、81年に知的障害を理由に望まない中絶と不妊手術を強いられたとして、北海道の夫婦が6月下旬にも国に損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こす方針。


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2018年06月10日日曜日


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