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<宮城県沖地震40年>再来リスク(中)耐震対策 地盤特性、被害を左右 詳細調査進め地図作成

宮城県沖地震を契機に県が1985年にまとめた「宮城県地震地盤図」。災害想定の基礎資料となった

 国や東北各県が防災体制を見直すきっかけとなった宮城県沖地震の発生から、12日で40年となる。2011年3月11日の東日本大震災後も、科学者は宮城県沖を含めた太平洋側で大地震や大津波が起こりうるとして、警鐘を鳴らし続ける。「6.12」の教訓を振り返りながら「3.11」後の備えを検証する。
(報道部・小沢邦嘉)

<柱全て大破>

 東日本大震災の発生後、東北大青葉山キャンパス(仙台市青葉区)で確認された建物被害が、耐震の専門家らに衝撃を与えた。
 四隅の柱が全て大破し、解体された工学部の人間・環境系研究棟。1969年建設の9階建てだが、78年の宮城県沖地震に耐えた。2000年の耐震改修で強度を高めたはずだった。
 被害状況を調べた東北大の源栄(もとさか)正人名誉教授(地震工学)は「40年前の地震で分かっていた地盤の特性が、改修時に適切に反映されなかったことも被害要因となった」と振り返る。
 研究棟には地震計が備えられていた。青葉山の地盤は安定している一方、78年の観測では10階建て程度のビルが反応しやすい周期1秒の揺れが、JR仙台駅前に比べて2倍に増幅する特性が確認されていた。
 研究棟を改修する際、学内に地盤特性への懸念はあったが十分考慮されなかった。3.11でも揺れの増幅が確認され、宮城県沖地震で生じた柱の内部損傷の見落としもあり、被害を広げる結果になった。
 教訓を踏まえ、源栄氏は「地盤特性の違いは地震リスクの地域内格差につながる。状況をよく理解し、建物の揺れの対策を検討してほしい」と強調する。

<防災の基礎>

 78年の地震では仙台市を中心に7500棟以上の住宅が全半壊した。被害は丘陵地や、沖積層が厚く地盤が弱い地域で目立った。
 当時、復旧復興の陣頭指揮を執った故山本壮一郎宮城県知事は、専門家の助言を基に「地質の再調査は防災の基本になる」と号令を掛けた。県は8000カ所をボーリング調査し、85年に「宮城県地震地盤図」をまとめ上げた。
 地盤図にはその後、追加の調査情報が加わり、県内自治体の防災マップの基礎になった。ただ、公表されたのは想定する地震の規模や震源からの距離から計算した「平均的な揺れ」の情報などが中心。地盤特性を知る上で限界もある。
 建物の揺れに最も影響するのは、地下100メートルより浅い地盤とされる。より詳しい地盤情報を防災に生かす取り組みが、首都直下地震の発生リスクを抱える関東で展開されている。
 国立研究開発法人・防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の先名重樹主幹研究員(地盤地震工学)らは2014年、国の事業として浅い地盤の調査を開始した。約1万4000カ所で、車の走行などで日常的に発生する揺れを観測する「微動探査」を実施した。
 観測情報から地震の揺れの増幅特性を抽出する新たな仕組みを確立。過去の豊富なボーリング調査の分析データも活用しながら、250メートル四方ごとに詳しい揺れやすさを分析した地図をまとめている。
 首都直下地震の従来想定に比べ、震度が1上がる程度まで揺れが強まる可能性がある地域も確認された。先名氏は「東北を含め全国で早期に詳しい地盤情報のデータをまとめ、防災や地震動の研究に生かすべきだ」と指摘する。


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2018年06月10日日曜日


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