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<東北の本棚>お嬢様幽霊 仙台で活躍

◎お天気屋のお鈴さん 堀川アサコ 著

 仙台市を舞台に、江戸時代の呉服屋のお嬢様の幽霊お鈴と信用金庫に勤める村田カエデ、その恋人の紺野守らがドタバタ劇を繰り広げる奇想天外な小説だ。予想のつかないストーリーテリングとユーモア、温かさが絶妙にミックスされ、小気味よいテンポで物語が進む。
 本書は文庫書き下ろしで「お鈴さん」シリーズの2作目。お鈴は神出鬼没の17歳の幽霊で、勝手にカエデを奉公人扱いしては取りついて、カエデや周辺の人間をさまざまな騒動に巻き込んでしまう。
 1話では仙台市の地下鉄南北線で人間の男性に憑依(ひょうい)して痴漢をする幽霊の狸穴屋(まみあなや)彦衛門を懲らしめるため、お鈴とカエデ、紺野が奮闘する。そこにパワハラで意気消沈している青年も絡み、物語は意外な展開へと進んでいく。
 破天荒な発想と行動力で難題に首を突っ込むお鈴にカエデと紺野が翻弄(ほんろう)されながらも、結果的に幸せになっていく様子などが描かれている。「ツンデレ」のお鈴や気立ての良いカエデ、心優しい紺野…。登場人物のキャラクター造形に温かみがあり、ハラハラしながらも読後はほのぼのとする。
 仙台市内の地名が随所に登場し、仙台の街の雰囲気がよく伝わってくる。著者は「20代に仙台で会社勤めをしていて、6年間住んでいた。仙台は物語にしやすい魅力的な都市だと思う。今後も仙台を舞台に小説を執筆したい」と話している。
 著者は1964年青森市生まれで同市在住。2006年に「闇鏡」で第18回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビューした。
 KADOKAWA(0570)002301=605円。


2018年06月10日日曜日


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