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<宮城県警>ベトナム語を話せる警察官育成に力 来日20倍、摘発者も急増 受け入れ企業は偏見に懸念「大半は勤勉」

指定書を交付される土井巡査(手前)=1日、県警本部

 宮城県内の外国人犯罪で、容疑者がベトナム人のケースが増えている。2008年にゼロだったベトナム人の摘発者数は、17年は20人に急増し、最多の中国人(23人)に次いで多かった。県警はベトナム語を話せる警察官の育成に力を入れ始めた。
 県内の過去10年(08〜17年)の外国人犯罪摘発者数はグラフの通り。全体数に極端な変動はないが、減少傾向にある韓国人に比べ、ベトナム人の増加が目立つ。今年も5月末時点の外国人摘発者28人(速報値)のうち、ベトナム人が8人で最多だ。
 増加の背景には、技能実習や留学による来日者の急増がある。県内在住のベトナム人は17年6月末時点で2548人と、08年の20倍以上に膨らんでいる。
 県警は17年度、言葉の壁を越えて外国人犯罪に対応可能な人材を養成する外国語特別訓練の対象に、ベトナム語を追加。本年度は基礎課程に4人、海外研修課程に1人が挑戦する。ベトナム語で取り調べなどの刑事手続きができる通訳官は現在2人だが、早期の増員を目指す。
 県警本部で1日にあった特別訓練員の指定式では、英語や中国語の課程を含めた計20人の訓練員を代表し、ベトナムで9月から約3カ月間の現地研修に臨む県警組織犯罪対策課の土井沙也花(さやか)巡査(24)が指定書を受け取った。
 土井巡査は交番勤務時代に、ベトナム人への交通指導や落とし物対応で会話ができず、言語習得の必要性を痛感したという。「事件捜査への貢献はもちろん、日本に住むベトナム人が安心して暮らせるよう力になりたい」と語る。

◎大半は「勤勉」「親日的」 ベトナム人への偏見懸念

 ベトナム人容疑者の増加について、県警は「何らかの理由で(日本社会から)ドロップアウトした人が犯罪に手を染めているのではないか」とみる。技能実習生を受け入れる企業経営者らは「ベトナム人は他国の人より勤勉な印象だ」と、ひとくくりにする見方をしないよう訴える。
 2010年から仙台市に住み、県国際化協会でベトナム出身者からの相談に応じる同国人女性(48)は「気候や生活環境に慣れず、ストレスもあると思う。他のベトナム人が日本に住みにくくならないか心配だ」と容疑者増による偏見を懸念する。
 ベトナムへの進出を目指したり、技能実習生を受け入れたりする企業などでつくる県日越交流協会の鎌田厚司会長は「多くのベトナム人は親日的で、一緒に仕事をしやすい。文化の違いはあるが、互いに誤解せず歩み寄ろうとする姿勢が大切だ」と呼び掛ける。


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2018年06月14日木曜日


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