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<にゃんとワンポイント・実践編>野良猫を飼いたい方へ ウイルス感染に注意 まずは病院で検査を

生後間もなく段ボールに入れられ、病院前に置かれていた子猫。残念ながらきょうだいたちは助からなかった

 野良猫を拾って、これから家の中で飼おうという方へのメッセージです。野良猫はウイルスや寄生虫感染を患っていることがあります。猫同士のケンカや毛づくろい、食器や寝床を共有することで感染するものもあります。
 寄生虫は駆虫薬で完治が可能ですが、何らかのウイルスに感染していると、症状は無くてもウイルスを排出しており、他の猫に感染を広げます。飼い始めるときには、まず動物病院でウイルスと寄生虫の検査を受けましょう。
 先住猫がいる家庭では、健康診断を受ける前に猫同士の接触をさせないように注意してください。人に感染する病気もあります。猫の体調が把握できるまでは密な接触を避けましょう。
 春から梅雨の時季に多いのは野良の子猫です。春先の発情期に交配した猫は、約2カ月の妊娠期間を経て出産します。子猫を飼うにしても、元気に育ってくれるために、少なくとも生後2週間は母猫に任せましょう。生後間もない子猫の管理は大変です。
 母猫はおなかで子猫の体を温め、排せつを促すためにお尻をなめてやりながら、5対の乳房で一気に授乳することができます。人がやろうとすれば、お湯を沸かし粉ミルクを溶かし、むせないように授乳をして、子猫一匹一匹のお尻を刺激しなければなりません。母猫の母乳に含まれる免疫をしっかり取れるかどうかも健康に大きく作用するので、どうしても母猫にはかないません。
 以前、病院の前に生後間もない5匹の子猫たちを段ボールに入れ、置いていかれたことがありました。母乳を何回飲めたのかも分からない、生まれたばかりの子たちです。見つけた時点で弱っていました。寝不足になりながら十数日間、懸命に世話をしましたが、大きくなれたのは1匹だけでした。
 今年5歳になるその子は、寝ずの世話をしてくれたスタッフの家で元気に暮らしています。「もう少し大きくなるまでお母さんの所に居させてあげればよかったのにな」と、顔の見えない段ボールの主に対して思ったのでした。(獣医師 後藤千尋)


2018年06月15日金曜日


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