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<青森・六ヶ所村長選>きょう告示 核燃の是非問い続ける

反対派が直前で立候補を表明し、選挙への準備が進む村役場

 任期満了に伴う青森県六ケ所村長選(24日投開票)が19日、告示される。いずれも無所属で、核燃料サイクルによる振興を掲げる現職戸田衛氏(71)と反核燃・反原発派の市民団体が推す青森市の医師遠藤順子氏(58)が立候補の意向を表明した。負け覚悟の新人と盤石の現職という構図。両陣営、候補の思いに村の歴史が垣間見える。(むつ支局・勅使河原奨治)

 「(推進派と)五分五分の戦いをしたこともあった」。同村泊地区で30年以上にわたり核燃事業への反対運動を続けてきた種市信雄さん(82)が振り返る。
 反対派が事業を止めるチャンスは過去に2度あった。だが、いずれも、決して民主的とは呼べないような手法でほごにされた。
 1回目は1986年の泊漁協総会。核燃事業の海域調査を認めるかが争点だった。反対派が過半数を確保する中、総会は決議をせずに流会。2カ月後、総会は冒頭、総数の合わない委任状による賛成多数を宣言して閉会した。「国を敵に回すと、そんなことばかりだった」と種市さん。

 2回目は89年の村長選。「凍結」を掲げて反対派住民の支持を得た候補が、推進派を破った。ところが、公約の住民投票は未実施。政策も「凍結」から「推進」へと変貌していった。
 以降、反対派は振るわない。前回の村長選まで6回続けて、推進候補の10分の1にも満たない得票で大敗。村内に候補者を見つけることすら難しい状況が続く。
 今回の村長選について、種市さんは「反対の灯火は消せない。意思表示をしなければ、不正を容認したことにもなる」と語った。
 5月末に立候補を決めた遠藤氏は、診察の合間を縫っての選挙戦。来村できない時は、録音した訴えを選挙カーから流す予定だ。
 再選を目指す現職の戸田氏は全村議の支持を得て盤石の態勢。「核燃サイクルに反対してきた人も推進してきた人も、みんなが幸せになれる村づくり」を掲げ、反対派を敵視することはない。役場職員として住民を分断した対立の歴史を見てきた。人一倍強い村民融和への思いがにじむ。
 公約の最上位に農漁業などの1次産業の振興を挙げた。「それこそが原子力との共生」と考えるからだ。
 1日現在の有権者は8856人。

[六ケ所村と核燃事業]
 核燃事業の受け入れで、村は「日本一裕福な田舎」とも呼ばれるようになった。村の総所得を総人口で割った村民1人当たり所得は1514万9000円(15年度統計)。10年連続で県内自治体の最高額を誇る。
 就業人口に占める2次、3次産業従事者は87%。その大半が核燃を担う日本原燃と関連を持つ。人口1万の村で社員約2700人の同社の存在は大きく、使用済み核燃料再処理工場には今も1日数千人が工事に入り、地域を潤す。


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2018年06月19日火曜日


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