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<新参が挑む>EMデバイス独立1年(下)人材確保 命運懸けて技術者養成

担当者が就職活動中の大学生に業務内容を説明した=4月、白石市のEMデバイス本社

 電子機器を制御するリレー(中継)部品の製造大手であるEMデバイス(宮城県白石市)は昨年4月、NECトーキン(同)から独立して誕生した。初年度の2018年3月期売上高はNECトーキン時代より9%増えて約210億円。製造業界の世界的な活況に支えられ、上々のスタートを切った一方、今後の事業拡大に向けてはハードルも少なくない。新参メーカーの軌跡と課題を追った。(報道部・高橋公彦)

 「会社は昨年誕生したばかりだが、半世紀の実績がある。車載リレーのシェアは世界トップだ」

<世界トップPR>
 EMデバイス人事総務部の宮城裕シニアマネージャーは4月、白石市の本社で開いた会社説明会で熱弁を振るった。東北学院大4年の男子学生(21)は「製品が世界中で使われるのは魅力的」と関心を示した。
 主力の車載リレーの増産と電気自動車(EV)向け製品の開発を目指す同社にとって、最大の課題は人材確保だ。近年、新卒採用は空前の売り手市場が続いている。昨年4月に誕生した新参メーカーは、将来の命運を左右する採用に手探りで挑む。
 NECトーキン(現トーキン、白石市)から独立して間もない昨年の採用は苦戦した。活動を始めた6月時点で他社は既に内定を出しており、就職活動中の学生自体が少なかった。高専卒予定者は確保できたものの、内定を出した大卒予定者3人は全員が辞退。大卒は中途採用に切り替えた。

<知名度不足響く>
 同社のような売上高200億円超のメーカーは宮城県内に8社しかない。新卒者にとって有力企業に違いないはずだが、知名度不足が大きく響いた。
 今年の採用は昨年10月に準備を開始した。担当者が東北の大学を中心に就職担当の教員を回ったほか、各大学で開かれるセミナーにも出展。独自のインターンシップ(就業体験)も実施した。
 その結果、2人程度を予定する大卒予定者募集に大手就職サイトから60人以上のエントリー(応募)があった。宮城シニアマネージャーは「反応がいい。大学の求人票を持参する学生もおり、足を使った効果もあった」と語る。

<新人教育に注力>
 リレーの専業メーカーになったことで、採用後の人材育成の重要性はさらに増した。EV向けリレーなどの基礎研究や製品開発に携わる技術者の養成が、今後の業績維持と拡大に欠かせないからだ。
 昨年の唯一の新入社員である川崎晃伸さん(28)は開発部で車載リレーの新製品開発に携わる。山形大工学部で学んだ知識を生かしたいと配属を希望した。
 現在は先輩社員とともに製品を試作し、性能を検査する作業を重ねる。自動車部品に求められる性能基準や、製品の開発から量産に至る工程などを学ぶ。
 川崎さんは「EMデバイスも、技術者としての自分もようやくスタートしたばかり。一緒に成長し、社会に必要とされるものづくりをしたい」と意気込む。


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2018年06月21日木曜日


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