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<千年希望の丘>土地活用、6次産業化、廃棄物処理の「一石三鳥」 防潮堤に「薬膳果樹園」整備

クワの苗木を植え、水をまく法人関係者

 東日本大震災で被災した宮城県岩沼市玉浦地区で、災害危険区域の有効活用と農業の6次産業化、廃棄物処理を図る「一石三鳥」の取り組みが始まった。津波の威力を減衰させる緑の防潮堤「千年希望の丘」で、市内の池の汚泥を堆肥に使い、付加価値の高いナツメなどを試験栽培する。いずれは栽培面積を広げ、岩沼の名物に育てたいという。
 同地区で6次産業化などを手掛ける一般社団法人「岩沼みんなのアグリツーリズム&イノベーション」が市の後押しを受けて担う。関係者約30人が今月1日、丘の一角に集まり、約200平方メートルにナツメやクコ、サンザシ、クワの苗木計40本を植えた。
 40本中8本の周りに、市内の朝日山公園の荒井池にたまった汚泥約100キロを投入。市販の肥料を与える残りの苗木と成長の比較をする。2020年まで3年間試験的に育て、収穫や商品化に成功すれば果樹園の拡大を検討する。
 同地区の住民は震災後、内陸側に集団移転し、跡地の活用が課題となっていた。被災した農家も多く、薬膳料理の材料や花粉症などのアレルギー疾患に効くとして近年、注目が高まっているナツメなどを栽培し、農業復興の起爆剤にしようと考えた。
 面積約2ヘクタールの荒井池には現在、野鳥のふんなどからなる汚泥が底に1メートルほど沈殿しているとみられる。処理には1立方メートル当たり数万円の経費がかかることから、市も試験栽培を通じて解決策を見いだそうと判断した。
 法人の谷地沼富勝代表理事は「災害危険区域で人は住めなくなったが、取り組みを通じて人が足を運ぶ場所になればうれしい。緑の防潮堤で薬膳果樹が採れるとなれば、岩沼の盛り上げにもなる」と意気込む。


2018年06月21日木曜日


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