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<五所川原市長選>津軽の観光都市「斜陽化」危機 外国人誘客後手、アクセスに難点 振興策巡り2氏舌戦

五所川原市を代表する観光施設の太宰治の生家「斜陽館」。生誕100年を迎えた2009年度は16万人の来館者を記録した

 任期満了に伴う五所川原市長選(24日投開票)は、ともに無所属新人で、会社社長の平山敦士氏(44)=自民・公明推薦=と会社役員の佐々木孝昌氏(64)による一騎打ちとなった。同市は雄大な立佞武多(たちねぷた)祭りが行われるなど、県内有数の観光地。しかし、集客数は伸びておらず、2人は市政の重要課題に位置付けられる観光振興策を巡り、舌戦を繰り広げている。(青森総局・茂木直人)

 「人影はぽつりぽつり。県内の観光客は増えているが、五所川原が選ばれるかどうかはまた別の話」
 金木地区にある文豪太宰治の生家「斜陽館」の伊藤一弘館長が漏らす。以前、10万人ほどあった来館者は2017年度、約7万人まで減った。
 県によると、県内の観光入り込み客数は12年からの4年間で約216万人増加した。一方、五所川原市内12の観光施設の合計入り込み客数は、13年と14年が約61万人、15年が約58万人、16年が約60万人と伸び悩んでいる。
 「五所川原までのアクセスが悪い」と話すのは、市商工会議所の藤田治一専務理事。新幹線が停車する新青森駅(青森市)から五所川原市中心部までは直線距離で約20キロだが、JRの快速でも約1時間を要する。
 青森空港(同)からの直通バスが12年に廃止されたのも大きい。同空港の年間利用者が16年から2年連続で100万人超を記録していることもあり、復活を望む声は根強くある。
 訪日外国人旅行者(インバウンド)の取り込みも後手に回る。青森県内の17年の外国人延べ宿泊者数(従業員10人以上の施設)は23万9150人で、初めて東北で1位となった。ただ、市中心部の観光施設「立佞武多の館」では「外国人観光客は増えてはいるが(全体の)1割程度」(菊池忠館長)だという。
 昨年、県内在住外国人を対象に実施したモニターツアーでは「多言語表記が不十分」と指摘されるなど、施設のインバウンド対応の遅れも目立つ。
 地吹雪体験ツアーや津軽鉄道のストーブ列車など、アイデアを凝らしたイベントはあるが、雪が降り積もる冬場の集客が落ち込むのも課題だ。
 観光振興について、平山氏は「インバウンドを拡大し、金木地区の観光施設を整備する」と主張。佐々木氏は「津軽半島や(日本海に面する)西海岸を含む観光ルートを確立する」と力を込める。
 人口減少時代の中で、多くの自治体が交流人口の拡大に力を入れる。市民が「(市内に)いい所は多いが、認知度が低いのでは」(80代女性)と話すように、恵まれた観光資源とポテンシャルはある。それをどう生かすかの宣伝戦略も欠かせない。


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2018年06月21日木曜日


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