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<転機の米作り 秋田の産地は今>減反廃止を追い風に/秋田ふるさと農協組合長 小田嶋契さんに聞く

小田 嶋契(おだしま・ちぎり)山形大卒。秋田ふるさと農協専務理事を経て、2014年6月に同農協代表理事組合長。現在2期目。54歳。横手市出身。

 秋田ふるさと農協(横手市)は今年、国によるコメの生産調整(減反)廃止を受けて主食用米の販売を前年より約3割増やす。減反廃止を「第二の農地解放」と受け止める小田嶋契組合長に拡大の狙いを聞いた。(聞き手は秋田総局・渡辺晋輔)

◎第1部 風になびく苗 インタビュー

<需要に応じる>
 −減反への評価は。
 「減反を全否定はしないが、転作で作りたくない作物も作らざるを得なかった。条件の悪い土地ほど耕作放棄地になり、コメ農家の生産意欲の減退や後継者不足という副作用をもたらした」
 「1971年に減反政策が始まった当時、農協や農家は猛反発した。戦後の農地解放で得た自分の土地を自由に使えないことが衝撃的だったのだろう」

 −減反廃止の受け止めは。
 「生産数量目標の配分に疑問を持っていたが、廃止を聞いた当初は困惑感があった。減反による需給調整で米価が安定するという思い込みがあったからだが、需要に応じた生産ができることは追い風だ、と考え直した。個々の経営判断で販売先を確保して生産するのが本来の計画生産。減反廃止は第二の農地解放と言える」
生産規模同じ

 −今年は主食用米の販売量を大きく増やす。
 「前年より1万1800トン増の約4万7300トンに設定した。全体の生産規模は変わらず、政府備蓄米向けだった分を主食用米にする。まだ6000トン足りない。低価格の業務用米も生産振興しているが、水田が不足している」
 「県産あきたこまちの品質は大仙・仙北地域が一番とされてきたものの、横手・平鹿地域も追い付いてきた。取引先の引き合いが強く、コメ余りでもここでは要望に応え切れていない」

<消費を増やす>
 −消費は減少傾向だ。
 「全体のパイが縮むことに危機感を持つべきだ。消費減に歯止めをかけるには、全体の半分を占める業務用米の消費を増やす必要がある。しかし、産地は単価の高いブランド米やプレミアム米に傾注し、高価格帯のコメが余る一方で業務用は取り合いで需給にミスマッチが生じている」

 −これからの稲作をどう考えるか。
 「園芸作物に比べ、稲作は後継者が育っていない。減反はコメを作らせない政策だったからだ。限られた農地で食料を作るのが農業の本質で、東北では農業振興と地域を守ることは同じだ。農協が生産振興に努め、組合員が『稲作をしたい』と思える環境を整備していく」

[秋田ふるさと農協]管内は横手市と秋田県美郷町の一部。2018年3月末の組合員数1万7657人と秋田県内で4番目の規模。単体の自己資本比率13.90%(17年3月末現在)。


関連ページ: 秋田 社会

2018年06月21日木曜日


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