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<地上イージス>防衛省説明に深まる「なぜ」 北朝鮮情勢、緊張緩和も方針崩さず

陸上自衛隊新屋演習場に入る自衛隊車両(写真は一部加工しています)

 政府が2023年度の導入を目指す地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。防衛省は秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地とし、地元自治体や議会、住民に今月相次いで説明した。同省の考え方が見えてきたが、候補地選定や導入を急ぐ理由が説得力に欠けることは否めず、住民は疑問や不信感を抱く。
 地上イージスは、ミサイル防衛強化を目的に昨年12月に2基導入を閣議決定した。海上自衛隊のイージス艦と異なり補給で寄港する必要がなく、年間を通して24時間体制で運用できる。政府は秋田、山口両県の2カ所に配備して国内全域をカバーする意向だ。
 秋田市の新屋演習場は広さ約107ヘクタール。地上イージスは高性能レーダーと指揮通信システム、迎撃ミサイル発射機で構成され、防衛省は「1平方キロ(100ヘクタール)あれば配置できる」と述べる。ミサイル発射試験は想定していないという。
 「可及的速やかに導入するため、自衛隊の施設から選んだ」と明かし、近隣に住宅密集地がある新屋演習場の代替地は「考えていない」と明言する。
 地上イージスは現在、米ハワイ州とルーマニアにあるが、新屋演習場と比べると住宅地から離れている。
 さらに国内28カ所にある自衛隊のレーダーサイトについて、防衛省の五味賢至戦略企画課長は「基本的には人のいない場所」と説明。新屋演習場の「特異さ」が逆に浮かび上がる。
 地域住民は高性能レーダーの電磁波の影響を懸念すると同時に、施設がテロなどの攻撃対象になることを恐れている。
 防衛省は「警察や海上保安庁などと連携し適切な警備体制を取る」と強調する。しかし佐竹敬久知事は18日の定例記者会見で「警察に(テロ対応の)装備はなく迷惑だ」と言い切った。
 導入を急ぐ理由にも地元は首をかしげる。
 防衛省は、導入に4、5年かかるとの見通しを示し、北朝鮮が保有する弾道ミサイルの脅威に備えるために「配備地を早く決める必要がある」と訴える。北朝鮮を取り巻く情勢が緊張緩和へ動いていても、同省は「政府方針に変わりない」と従来の立場を崩さない。
 一方で北朝鮮がミサイルを発射する可能性が低いとし、政府は本年度に宮城など全国9県で予定していたミサイル発射を想定した住民避難訓練を中止する方針だ。佐竹知事は「イージス・アショアは急ぐとしており、一貫性がない。慎重に適地を選ぶ時間があるはずだ」と疑問視する。

[イージス・アショア]海上自衛隊のイージス艦に搭載する迎撃ミサイルの陸上配備型システム。弾道ミサイルを高性能レーダーで探知し、迎撃ミサイルで大気圏外で打ち落とす。取得費は1基1000億円弱。米ハワイ州に実験施設があるほか、ルーマニアに配備されている。


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2018年06月22日金曜日


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