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<岩手次期総合計画素案>揺れる評価「達増拓也知事が何をしたいのか分からない」

22日に開会した岩手県議会6月定例会。次期総合計画を巡る論戦が始まる

 岩手県が発表した次期総合計画(2019〜28年度)の素案を巡って県議会の評価が揺れている。本格論戦はこれからだが、成長戦略と一線を画した異色の総計に戸惑う議員は少なくない。岩手の針路を定める最上位計画の策定で、県民の議決機関は存在感を発揮できるのか。(盛岡総局・浦響子、斎藤雄一)

<県民の幸福追求>
 「達増拓也知事が何をしたいのか分からない」と自民党系会派の岩崎友一議員は首をかしげた。
 「県民の幸福を守り育てる」という次期総計に「抽象的。農林水産業、ILC(国際リニアコライダー)など具体的施策をもっと書き込まないと」と批判する。
 実際、素案は国主導の地方創生を「効果が表れていない」と否定。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と宮沢賢治の「農民芸術概論要綱」から一節を引用して「心の豊かさ」を追求する。
 これを「知事のメッセージが込められている」と読み解くのは国民民主・自由党系会派の関根敏伸議員だ。「先進的。多角的にいろいろな形の『幸福』を打ち出している」と評した。
 22日開会の6月定例会では、一般質問で5人が総計や「県民の幸福」について達増知事の考え方を尋ねる予定だ。
 無所属系会派の中平均議員は「幸福の感じ方には統一的な基準がないので、現時点では賛成とも反対とも言えない。時間をかけて議論を深めないといけない」と熟議を訴える。
 県は12月定例会で最終案を報告し、来年の2月定例会で議会の承認を得たい考え。対する議会だが、現行の総計「いわて県民計画」を策定した08年度は、特別委員会を設置した。さて、今回はどうなるか。

<議決の権限曖昧>
 県議会は全国の地方議会に先駆けて03年、総計策定は「議会の議決を経なければならない」とする行政基本計画議決条例を議員提案で成立させ、施行している。
 しかし条例は、議会の議決を最も強力な権限の「可決(否決)」ではなく「承認(不承認)」にとどめた。これでは、首長による執行事実を議会が事後承認する専決処分と同じ扱いと受け取ることもできる。
 08年に「議会基本条例」を施行してからも総計案は「承認(不承認)」事項で変わらず、議会の議決権限は曖昧なままだ。
 この間に全国では、総計策定への関与を最大限強化しようという議会が次々登場した。東北では既に青森、宮城、山形、福島の各県議会などが「可決(否決)」事項に位置付けている。
 改革先進議会の三重県議会の場合、総計策定は他の議案と区別して審議手順を事前に準備。各常任委員会などが半年以上をかけて審議する。
 今後、異色の総計案を議論する岩手県議会。討論の足場を固め直すことから始める必要があるのではないだろうか。


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2018年06月23日土曜日


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