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<地上イージス>説得力欠く「北警戒」 候補地・秋田など防衛相が訪問

 小野寺五典防衛相が地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備候補地の秋田、山口両県の説得に乗り出した。北朝鮮に対する弾道ミサイル防衛強化の一環だが、米朝融和ムードが皮肉にも「逆風」となり、地元からは拙速な配備に疑問符がつく。政府は「北朝鮮の脅威は何も変わっていない」と必要性を説く一方、ミサイル発射を想定した避難訓練を中止。ちぐはぐな対応もあって説得に難渋しそうだ。

 「配備は北朝鮮と緊張関係にあるときの案だ。数年先の配備となると真に最適の候補地なのか」。22日夜、秋田県庁で小野寺氏と向き合った佐竹敬久知事は強い口調で迫った。小野寺氏は「北朝鮮は少なくとも数百発の日本に届く弾道ミサイルを配備している。警戒を緩めているわけではない」と釈明に追われた。

<連携不足に不満>
 同日午前、菅義偉官房長官は、弾道ミサイル発射を想定して2018年度に宮城など9県で予定していた住民避難訓練のとりやめを正式発表。13日の記者会見では「日本にいつミサイルが向かってくるか分からないという厳しい状況は緩和された」とも指摘していた。
 異なる理屈を説明せざるを得ない政府。秋田に先立って小野寺氏が訪れた山口県の村岡嗣政知事も「北朝鮮を巡る情勢も変わってきている。配備の必要性をどう考えているか」と疑義を唱えた。防衛省幹部は「訓練中止が防衛相訪問の妨げになった」と、政府内の連携不足に不満を漏らした。
 防衛省としては、北朝鮮が多数の弾道ミサイルを現在も保持していることに加え、地上イージスの運用開始には約5年を要するため、地元説得を急ぎたい。米朝の非核化交渉が行き詰まり、「再びミサイル発射の可能性が高まった場合に備える」(同省幹部)というわけだ。ただ小野寺氏周辺も「説明が苦しくなっている」と、米朝首脳会談による影響を認める。
 地上イージスは取得費が1基あたり1千億円とされる米国製の大型装備品だ。費用はレーダーの性能次第でさらに膨れ上がる予想もある。トランプ米大統領は安倍晋三首相との会談のたびに、防衛装備品を購入するよう期待感を示している。

<念頭に中国軍か>
 一方、搭載が予定される日米共同開発の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」は迎撃実験に2度失敗した。自民党国防族の重鎮からは「いま導入を急ぐ必要があるのか」との声も上がる。
 小野寺氏は両県入りする直前の会見で、地上イージスについて「巡航ミサイルにも十分な(迎撃)能力を発揮する可能性がある」と言及した。長射程の巡航ミサイルを多数配備する中国軍が念頭にあるとみられる。自衛隊幹部も「地上イージスが北朝鮮対応というのは『隠れみの』。本当の対象は中国だ」と明かす。
 ただ、首相が日中首脳の相互訪問を目指す中で「表だって対中国とは口が裂けても言えない」(同)のが実情だ。地元説得の有効策は見えない。


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2018年06月23日土曜日


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