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<福島第1原発事故>避難区域の保険料上昇 介護サービス頼みに懸念

福島県葛尾村社会福祉協議会が同県三春町で実施するデイサービス

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難の長期化で、高齢の避難者らが介護サービスに頼る傾向が一段と強まっている。原発事故で被災した福島県内自治体の65歳以上の介護保険料は、要介護などの認定者増に合わせて右肩上がり。全国10位以内に6町村が入った。現在の減免措置が終われば被災者に負担がのし掛かるため、自治体は危機感を募らせる。(福島総局・関川洋平、いわき支局・佐藤崇)

<生活一変 健康悪化>
 厚生労働省のまとめによると、65歳以上が2018〜20年度に負担する保険料は、葛尾村が月9800円で全国最高。15〜17年度から2300円上がった。他に原発事故の避難区域では双葉町、大熊町、浪江町、飯舘村、川内村が続いた。
 葛尾村の17年度の要介護・要支援認定者は161人で、10年度の約1.6倍。高齢者に占める認定率は19.7%から30.6%に上昇した。介護保険給付費も2.8倍の2億8400万円に膨らんだ。
 村の避難指示は16年6月に一部を除いて解除されたが、今も村民の約80%が避難先に暮らす。村は「畑仕事などで体を動かす生活が一変。健康が悪化した人が多い」とみる。
 雑貨店を営んでいた吉田チトリさん(88)は、福島県三春町にある村の災害公営住宅に1人で暮らす。避難後は血圧が高く、体調を崩しがちという。
 「公営住宅でも体操をしているが、事故前のようには体が動かない」と吉田さん。村社会福祉協議会が三春町で運営するデイサービス施設に週2回通う。
 原発事故では家族が分散し、1人暮らしや高齢世帯になって介護サービスに頼らざるを得ない例が目立つ。知り合いのいない避難先で、デイサービス施設通いが生活のよりどころになった高齢者も少なくない。

<入所施設の利用増>
 避難の長期化は入所施設の利用増も招いている。
 葛尾村では村外にある認知症グループホームの入所者が増え、17年度の利用数は原発事故前の10倍に。15年に指定業者が三春町に定員18人の施設を開設した。
 村社協は「避難生活では高齢者の心身の衰えが早い。体操教室などに取り組んでいるが、流れは止められていない」と説明する。
 全町避難が続く双葉町の社会福祉法人は昨年7月、いわき市で特別養護老人ホームを再開。定員40人は町民らでほぼいっぱい。他施設からの転入組もいるが、4割は新たな特養利用者だ。
 避難区域となった自治体の高齢者は、国の特例措置で介護保険料とサービス利用料が原則免除される。サービスをフルに活用しやすい環境で、給付費増加につながっている面がある。
 減免措置は1年ごとで、延長がいつまで続くかは不透明だ。浪江町の担当者は「負担が増せば必要なサービスを受けられない町民も出かねない」と懸念。同町など双葉郡8町村による双葉地方町村会は5月、政府に継続を要望した。

[介護保険料]介護保険運営のため40歳以上が払う保険料。介護サービスの費用は利用者の自己負担分(1〜2割)を除き、税金と保険料で半分ずつ賄う。65歳以上の保険料は市区町村や広域連合ごとに必要なサービス量を推計して決め、3年に1度見直される。東京電力福島第1原発事故被災地の保険料と自己負担分は、避難指示が続く地域は全住民、解除された地域は一定所得未満で減免されている。


2018年06月23日土曜日


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