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<東洋刃物>震災越え10期ぶり復配 津波で工場被災、事業選別し効率化徹底

復配を達成し、社員と談笑する清野社長(左)

 産業用刃物メーカーの東洋刃物(宮城県富谷市)は28日の株主総会で、10期ぶりの復配を報告する。同社は2008年のリーマン・ショックで受注が減少。東日本大震災では主要施設が壊れ、上場廃止の危機にあったが、世界的な製造業の活況と業務効率化によって業績を改善させた。新たな資金調達方法で経営基盤も強化し、1株当たり10円となる18年3月期の年間配当を達成した。
 震災時は仙台市宮城野区の本社と、隣接する工場6棟が津波で損壊。被災施設の生産額は全社の3分の1を占めた。被災を免れた富谷工場に本社を移すなどして対応したが、受注量の半分を担うのが限界だった。
 11年3月期の連結決算で、営業損益は5600万円の黒字を確保したが、震災による損失約13億円を計上し、創業以来初めて債務超過に陥った。超過額は決算発表時点で4億6000万円に上った。
 同社は被災後に閉鎖した3棟があった土地と、鉄鋼用刃物を担う大阪工場(大阪府)を売却し、約12億7000万円を捻出。大阪工場の機能を宮城県内の工場に移管し、利益率が低い合板用刃物事業から撤退するなど生産機能集約と会社規模の縮小を断行した。
 16年に官民ファンドと資本・業務提携契約を締結。設備投資費など6億円を調達し、筆頭株主のファンドから取締役と監査役各1人を受け入れ経費削減や売上原価率の意識を徹底した。
 業務改善が進む一方、IT化の進展で主力製品の情報産業用刃物の受注も増えた。国内外の半導体製造装置や工作機械、電機などのメーカーの需要取り込みに成功。業績は回復を続けた。
 18年3月期の営業利益は前期比6.7%増の3億1200万円で、15年3月期から4期連続で黒字を確保。次期予想は18.3%増の3億7000万円とさらなる成長を見込んでいる。今後、部品加工により精度の高い刃物が必要となる電気自動車(EV)や自動運転技術の市場に注力する。
 清野芳彰社長は「わずか10円の配当を実現するまでに会社を去らざるを得なかった人もいる。増配はもちろん、内部留保を潤沢にするとともに経営再建を支えてくれた社員の所得水準も上げたい」と話した。


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2018年06月28日木曜日


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