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<週刊せんだい>自転車、より快適に(4)3氏インタビュー

[ひぐち・よしふみ]1947年奥州市生まれ。東海大卒。仙台市で建築士として働く傍ら、高校時代に始めたサイクリングを趣味で楽しむ。2012年から現職。
[おがわ・かずひさ]1963年京都市生まれ。大阪大大学院修了。同大助手、広島国際大准教授を経て、2008年4月から現職。専門は交通心理学。
[ささき・ひろし]1950年仙台市生まれ。東北学院大卒。宮城県警交通企画課交通安全企画官、高速隊副隊長などを歴任。退職後、2016年4月から現職。

 自転車に乗る人と歩行者、自動車の運転手−。3者がそれぞれ、道路を安全に利用できるようにし、交通事故を減らすためには、どんな工夫が必要なのか。自転車愛好家、研究者、業務で車を運転する人の安全指導役と、立場の違う3人に話を聞いた。

◎生活道路の車道狭めて 宮城県サイクリング協会理事長 樋口芳文さん(71)

 交通ルールに環境整備が追いつかず、自転車で走れる場所が少ないと感じる。車道の端は細かい砂やガラスのかけらなどが多く、パンクしやすい。自転車は車道通行が原則だと知っていても、自己防衛で歩道を走っている人もいるのではないか。
 車の交通量の多い広い道はともかく、住宅地の細い生活道路はもっと安心して走れるようにしてほしい。車道を狭めて、自転車と歩行者が利用できる幅員を広くしたらどうだろうか。
 車の時速が30キロ未満だと、死亡事故の割合が低くなるという警察のデータがある。車道が狭ければ車も用心してゆっくり走るだろう。交通事故抑止につながるのではないだろうか。
 街中を走っている自転車を見ると、わざわざ疲れる乗り方をしている人が少なくない。本来は、ハンドルとサドル、肩を結ぶ線が正三角形になるのがいい。
 乗車姿勢が悪いとまっすぐ走れず、事故につながる。子どもを対象にした自転車交通安全教室などで指導し、幼いうちに正しい乗車姿勢が身に付くようにしてほしい。
 交通量が多くて、乗りにくい場所を避けるなど、自転車に乗る者も安全のための工夫が必要だ。歩道は歩行者に合わせてゆっくり走り、周囲の気配を感じ取る。車でいう予測運転が、自転車にも求められる。

◎事故の危険性理解必要 東北工大教授 小川和久さん(55)

 自転車の走行ルールが曖昧なのは、走る場所がしっかり定まっていないのが一番の問題。自転車道があっても途中でなくなっているなど、安全に走れる空間はわずかだ。
 環境条件は良くない。だが、意識は変えることができる。例えば、自転車事故の多い中高生は、自分がどんな場合に事故の被害者になるのかなど、危険性を十分理解していない。
 恐怖をあおる交通安全教室は、ショーを見ているような感覚で、効果に疑問がある。事故の危険は人ごとではなく、自分の身に降りかかってくると分かってもらうことが大事だ。そのためには自分が自転車で走る姿をイメージし、課題を考えてもらう必要がある。
 高齢者や障害者ら、弱い立場の人たちにとって自転車は脅威だ。彼らの声に耳を傾けることで、自転車の危険性を認識し、他者のリスクへの考えが深まる。
 他者を理解しようとすることは、自分が相手の立場だったらどうなるかを考えるきっかけにもなる。つまりは自分のことを考えることになる。そして、周囲の人、仲間をどう助け、共生するかを考えることは、地域全体の共生をどう考えるかにつながっていくはずだ。
 中高生にとって自転車は身近な存在。その安全な乗り方を通じ、他者や地域との共生に対する考えを深めてほしい。

◎同じ道走る仲間意識を 宮城県安全運転管理者協会委託業務部長 佐々木浩さん(63)

 自動車のドライバーには、車道を走る自転車を邪魔者扱いする意識が根強い。自転車は軽車両であり、同じ道を走る仲間という意識付けをしっかりしていく必要がある。
 右側通行をしたり、傘差し運転をしたり、交通ルールを守らない自転車が近くを走っていると、車のドライバーはストレスを感じる。それが邪魔者扱いの原因だろう。一方、自転車側からみれば、安全に走れる道路環境が十分に整備されていない。特に道幅の狭い生活道路では、自転車と車がぶつかる危険が増す。
 協会には、5台以上の車を保有する宮城県内約5300の事業所が参加している。業務で日常的に道路を走るドライバーが多く、交通事故は企業のイメージダウンにもつながる。
 事業所の選任した安全運転管理者への講習では、事故を回避するため「気持ちのゆとりを持った運転」を呼び掛けている。生活道路を走る際の危険も、強く訴えている。仕事で道を走るドライバーが先頭に立ち、自転車に配慮した運転を示すことで、一般ドライバーにも安全意識が浸透していくと考えている。
 自転車は無公害で、健康にいい乗り物。気持ち良く乗れるようになるのが望ましい。そのためにも、加盟事業所に対し、自転車を利用する従業員への交通安全徹底も呼び掛けている。


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2018年06月28日木曜日


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