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「オナガワエフエム」放送文化基金賞 被災者の今 声でつなぐ

放送文化基金賞の受賞決定後、初の収録に臨む佐藤さん(右から2人目)と阿部さん(左奥)ら

 宮城県女川町の一般社団法人「オナガワエフエム」の制作スタッフが、放送分野の優れた番組などを表彰する第44回放送文化基金賞「個人・グループ部門」に選ばれた。東日本大震災後に開局した臨時局を前身に、復興へと歩む町の現状を被災者自身の声で伝えてきた。関係者は「これからも町民やリスナーをつないでいく」と張り切っている。

 受賞スタッフは、TBCラジオで毎週日曜放送の番組「佐藤敏郎のOnagawa Now! 大人のたまり場」を手掛ける。全国のコミュニティーFMなど25局でも流されている。
 パーソナリティーは、女川一中(現女川中)などに勤務した元教諭佐藤敏郎さん(54)らが務める。放送は既に100回を超え、臨時災害放送局「女川さいがいFM」時代を含めると2000回以上になった。
 収録は週1回。女川小の駐車場一角にあるコンテナで行う。今月10日夜には、町民ら8人が「写真」をテーマにトークを展開した。
 震災後にがれきの中から拾い集めた写真が机の上に広げられると、出演者は「小さな頃の写真が全て流されてしまった」「七五三の写真がなくなってしまい残念」と津波に思い出を奪われた無念さを口にした。
 パーソナリティーの一人、阿部真知子さん(35)は町内の水産業体験施設「あがいんステーション」で働く。「職場に足を運んでくれるリスナーもいる。復興の良い面だけでなく、課題に向き合いながら町民の思いを伝える」と話す。
 「女川さいがいFM」は2011年4月開局。町内の防災無線が機能しない中、町民有志らが生活情報を伝えるなどしてきた。16年3月の閉局後も存続を求める声を受け、社団法人として番組制作を続けている。
 佐藤さんは「町民やリスナーが積み重ねてきたものを評価してもらった。今後も人々の思いをつなげる役割を果たしたい」と決意を語る。
 放送文化基金賞は公益財団法人放送文化基金の主催。本年度は全国の民放やNHK、プロダクションなどから286件の応募、推薦があった。今月6日に番組部門で16番組と個人6件、個人・グループ部門で7件の受賞が決まった。


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2018年06月29日金曜日


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