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<旧門脇小保存>擦れ違う思い 住民いら立つ 石巻市側の説明変遷、長期化に徒労感

震災遺構の保存を巡り、議論が交わされている旧門脇小

 東日本大震災で被災し、震災遺構として保存する石巻市の旧門脇小の基本設計を巡る議論が大詰めを迎えている。市側が今月初めて示した計画素案に対し、地元住民らからは校舎の保存方法や、震災当時の状況を踏まえない内容に異論が噴出。市側の説明には変遷も見られ、住民はいら立ちを募らせる。

<曖昧な答え>
 「校舎の残し方がアンバランス。左右対称にするよう何回も言っているのに、市はなぜ反映しないのか」
 17日に市防災センターであった計画素案に関するワークショップで、門脇地区の地元町内会長本間英一さん(69)は、設計を請け負った共同企業体の説明に疑問をぶつけた。 鉄筋コンクリート3階の現校舎は左右対称の構造。計画素案では、保存に消極的な「住民への配慮」を理由に校舎の両端を解体し、校庭の一部に木を植えるイメージを提示。残存させる校舎は東西を3対2の非対称とした。
 本間さんの指摘に対し、共同企業体側は「技術的な面などを考慮して過年度の検討の中で出た」と曖昧な答えに終始した。
 市の従来の説明が覆った点もあった。昨年8月の住民との非公開会合で、市は校舎脇の体育館を市民の活用スペースに充てる考えを示したが、素案では仮設住宅や被災車両を置く展示エリアに変わっていた。
 地元町内会役員の矢野達哉さん(56)は「素案を見て『えっ』と驚いた。ママさんバレーもできると聞いていたのに」といぶかる。
 震災当日の夜の星空を再現するというスペースに至っては「門脇の住民は当時、校舎が焼ける様子や津波を見ていた」などと否定する意見が相次いだ。
 震災の津波と火災で全壊した旧門脇小を巡る議論は、市と住民の間で擦れ違いを重ねてきた。

<要望通らず>
 門脇地区に住んでいた住民が復興街づくり協議会を設立したのは2012年4月。街の再生を願う協議会は2カ月後、門脇小や保育園などを再建し、子育て環境を整えるよう市に求めた。要望は通らず、同校は15年に石巻小と統合された。
 遺構保存の話が持ち上がると、協議会は「(再生する)住宅地に遺構はふさわしくない」と解体を求めた。市は15年に実施した校舎保存に関する市民アンケートで地域住民の賛否が拮抗(きっこう)したことや、公聴会の結果を踏まえ部分的な保存を決定した。
 長期化する議論に、住民の間には徒労感も漂う。70代の男性は「市には何度も要望したが『検討します』ばかりで前に進まなかった。思いは届かないという気持ちは強い」と諦め顔で語る。
 議論の行方が定まらない中、共同企業体は7月8日の次回ワークショップで計画の修正案を示す。


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2018年06月30日土曜日


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