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<空き家バンク>定住人口増へ活用 被災の岩手・沿岸市町村、情報発信強化 放置物件の仲介目指す

 東日本大震災で被災した岩手県の沿岸市町村が「空き家バンク」を活用した定住人口の増加策を強化している。被災地では、相当数の空き家が利用されないまま放置されていることが最近になって判明。まずは移住希望者に仲介できる物件の確保に取り組む。(盛岡総局・斎藤雄一)

 陸前高田市のNPO法人「高田暮舎(くらししゃ)」は3月、市の委託で空き家バンク制度を紹介するインターネットサイトを開設した。移住者の体験談も掲載し、全国から居住希望者を募る。
 本年度は市外在住の空き家所有者400人に空き家バンクへの登録を促すチラシを郵送。20件の物件情報登録を目指す。
 横浜市出身で自身も移住者という高田暮舎の山崎風雅さん(22)は「市内には民間の賃貸物件が少なく、短期間の滞在先に仮設住宅を選ぶ人も少なくない。空き家活用は被災地復興の有効な手段」と強調する。
 もともと賃貸物件が少なかった沿岸部は、震災でさらに入居可能な物件が減少。しかし釜石市が2016年度に実施した調査では、市内の全住宅1万8760戸のうち約4.5%に相当する831戸が空き家だったことが明らかになった。
 約6割は目立った損傷もなかったが「活用方法が分からない」と言う家主が多く、市場に出回らないまま放置されていた。
 調査結果を踏まえて釜石市は3月、27年度を最終年度とした「空家等対策計画」を策定した。計画期間内に空き家バンクを通じて50件の入居成約を目標に置く。
 空き家の所有者に再活用を促すため、市は不動産情報サイトを運営する「LIFULL(ライフル)」(東京)と連携協定を締結した。
 4月からは社員1人が市の臨時職員として勤務。ライフルが運営する全国の空き家バンク情報を一元化した専用サイトへの物件登録を勧める。
 ライフルが派遣する北辻巧多郎さん(29)=仙台市太白区出身=は「空き家は放置すると危険を生むが、活用すれば財産になる。復興支援で定期的に釜石市を訪れる個人を中心に需要はあるはずだ」と話す。
 移住物件に加え、北辻さんはオフィスや交流拠点として利用することも提案。釜石が会場の一つとなる19年ラグビーワールドカップでは「民泊」施設として活用したい意向だ。

[空き家バンク]自治体が空き家所有者を募り、ホームページなどで居住希望者に価格や間取りを紹介する物件情報登録制度。国土交通省は2017年、全国の空き家バンクに掲載された情報を一元化するモデル事業を展開。民間が運営するインターネットサイトが開設された。


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2018年06月30日土曜日


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