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<強制不妊手術>宮城県青少年問題協が推進の指針作成 専門家「件数増加の基盤に」

優生思想を背景とした指導に言及した指針

 旧優生保護法(1948〜96年)下で強制不妊・避妊手術が繰り返された問題で、宮城県内の行政や有識者でつくる県青少年問題協議会が当時、強制手術を推進する趣旨の指導指針を作成していたことが30日、分かった。専門家は「手術件数が増えた基盤になったのではないか」と指摘する。

 協議会が57年3月発行した「青少年指導指針」の第8集(95ページ)で、編集兼発行人として県民政労働部母子課長(当時)の氏名を記載。母子課長は前書きも執筆している。
 6章からなり、知的障害がある子どもへの対応を現場での事例を交えながら指導者らに説く内容。強制手術に関する記述が多くなるのは5章の「精神薄弱児対策」で、冒頭で「対策の根本的なことはなんといつてもそのような子どもが生れないようにすること」などと優生思想に同調した。
 不妊手術の対象だった精神疾患や遺伝性疾患がある人を「親として子供を育てる能力が欠けている」と断じ「その子供に不幸な思いをさせるよりは、子供を生まないようにしたらいいと思うのです」と主張した。
 6章では、優生思想普及や福祉施設整備を目的に教育関係者らでつくり、各家庭に出資を呼び掛けた県精神薄弱児福祉協会の活動に言及。優生手術に「へたをすると、これは人権の侵害になります」としつつ、協会の取り組みを「本当の人間愛の運動」と称賛した。
 協議会は今もあり、主に子どもの健全育成の方策などを審議。事務局を担う県共同参画社会推進課の担当者は「当時の記録がなく発行の経緯、配布先は分からない」と話す。
 国の統計などによると県内で実施された強制手術は1406件で、全国で2番目に多い。指針が発行された57年前後から件数が伸び始め、8年後の65年にピーク(129件)を迎える。
 障害児教育に詳しい宮城教育大名誉教授の清水貞夫氏は「指針や福祉協会の活動が当時の施設職員らに与えた影響は全くないわけではないだろう。宮城で手術の件数が増えた基盤を作ったのではないか」とみる。


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2018年07月01日日曜日


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