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気仙沼の離島・大島にクマ上陸 戦々恐々 島民、撃退道具作り備え

6月23日にクマが泳いで上陸した場所。奥が本土
5月25日に寺の近くで確認されたクマの足跡(気仙沼市提供)

 宮城県気仙沼市の離島・大島でこれまで生息していないとされてきたクマの目撃情報が相次ぎ、島民が不安を募らせている。島内にはクマに関する不確かな情報が飛び交い、手作りの撃退道具を用意して備える島民まで現れた。市や宮城県も警戒を強めている。

<泳いで渡ったか>
 6月23日午前8時35分ごろ、同市亀山の海沿いで養殖業小松武さん(43)が、約100羽のウミネコが海面に群がっているのを見つけた。
 「カモシカが本土から海を渡る時に見られるいつもの光景だろう」としばしらく観察していると突然、黒い頭が浮かび上がった。
 「クマだ!」。近くの加工場にいた父や親戚の男性と舟に乗り、上陸を防ごうとしたが島内に逃げられてしまった。小松さんは「閉ざされた島にクマがいると思うと怖い」と不安を口にする。
 市が確認した島内のクマ目撃情報は図の通り。5月23日に初めて見つかってから爪跡などの情報が市や警察に寄せられ、6月下旬から急に目撃情報が増えた。体長はいずれも1メートル〜1.5メートル。市は3頭いる可能性があるとみている。
 島と本土は最も近い場所で約200メートル。来春開通予定の気仙沼大島大橋(長さ356メートル)は架設済みだが高いフェンスがあり、クマが登ったり壊したりした形跡はない。全て本土側から泳いで渡ったらしい。
 市は、足跡が見つかった寺の近くにドラム缶式のわなを1台設置。近く2台追加する予定だ。
 わなを仕掛ける場合は宮城県から設置許可を受ける必要がある。通常は農作物などの被害があった場合のみ許可を出すが、県気仙沼地方振興事務所林業振興部は「狭い地域で島民の逃げ場が少ない。今回は緊急性がある」と説明する。

<うわさ飛び交う>
 市農林課によると、島内でのクマの目撃情報は過去にない。25日からは島の防災無線で朝夕2回、注意を呼び掛けている。クマは捕まっておらず、島民の不安は高まっている。
 16日に山林で目撃した民宿経営の漁業男性(62)は1メートルの鉄棒の先に鋭利な鉄を取り付けた撃退用のやりを作った。「まさかクマがいるとは思わなかった。何かあったら自分で身を守るしかない」と話す。
 その山林近くに住む別の漁業男性(80)は自宅の作業場に約50センチの鉄棒を準備した。「ずっと島に住んでいるが、まさかクマが来るとは…」と漏らした。
 島では連日、目撃情報が飛び交う。「クマに食べられたカモシカの死体があった」などの不確かなうわさも流れ始めた。
 菅原茂市長は「過剰な反応は必要ないが、近くにクマがいることは意識するべきだ。目撃情報はすぐに警察や市に寄せてほしい」と呼び掛けている。

<一時的移動の可能性/岩手大の青井俊樹名誉教授(野生動物管理学)の話> クマは泳ぎがうまく、30キロ離れた島に上陸した例もある。クワやヤマザクラ、キイチゴの実、海鳥の巣から卵などを食べている可能性がある。大島の広さを考えると、生息し続けるだけの餌が十分にあるとは言い難い。一時的な移動と考えられ、しばらくすれば本土に戻ると思われる。ただ、人間の残飯や空き缶に残った甘い汁などの味を覚えると島に居座る可能性があり、注意すべきだ。


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2018年07月01日日曜日


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