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<エネルギー基本計画>再生エネ「主力電源化」 基本計画原発維持は変えず

 政府は3日、エネルギー政策の枠組みを決める「エネルギー基本計画」を4年ぶりに改定し、閣議決定した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを「主力電源化」すると明記。2030年度の発電割合を22〜24%にする目標は維持し、実現に向け政策を結集する。原発は依存度を可能な限り低減させるが、エネルギー供給の安定性に寄与する「ベースロード電源」との位置付けは変えなかった。

◎福島第1の教訓どこへ

 【解説】3日閣議決定された改定エネルギー基本計画は、再生可能エネルギーの主力電源化など世界の潮流を反映させたものの、原発を引き続き重要電源に位置付けた。高速増殖原型炉もんじゅの廃炉決定で実現が見通せない核燃料サイクル政策を維持し、原子力政策の「再構築」も明記。東京電力福島第1原発事故の教訓は風化どころか軽んじられ、忘れ去られたと言わざるを得ない。
 2030年度の電源構成はガス火力27%、石炭火力26%、再生エネ22〜24%、原子力は20〜22%とし、目標変更には踏み込まなかった。原子力は原発約30基分に相当するが、東日本大震災後に再稼働した原発は9基にとどまる。東電福島第2原発全4基の廃炉方針が決まり老朽化する原発も多い中、基本計画で原発の新増設には触れていない。
 原発事故で規制基準は厳格化。大手電力会社は安全対策に膨大なカネと時間を投じ、発電コストが安いと主張できない状況だ。地元同意のハードルも上がった。原発の賛否を置いても机上の空論としか映らない。
 再生エネの目標が、原子力をやや上回る程度では物足りない。東北では豊富な自然エネルギーを生かした発電事業が各地で芽吹く。
 基本計画は(1)分散・地産地消型に対応できる送配電網の整備(2)太陽光や風力など変動する発電量を火力発電に頼らず安定的に調整するシステム−の重要性を指摘。今後は課題解決と普及拡大に向けた国の具体策が問われる。再生エネで水素を製造する「福島新エネ社会構想」の実現も急務となる。
 震災後、安価だが二酸化炭素の排出が多い石炭火力発電所の計画が相次ぎ、宮城県では住民が運転差し止め訴訟を起こした。
 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を踏まえ、50年までに温室効果ガス80%削減を達成するためにも再生エネの積極活用が求められる。それこそが震災を経験した東北、日本の生きる道だ。(東京支社・瀬川元章)


2018年07月04日水曜日


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