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<週刊せんだい>終活 自分らしい幕引きのために(1)エンディングノート 家族らへの愛情の証し

幾つものエンディングノートが並ぶ書店の書架=仙台市青葉区の金港堂
残される家族のために書いておきたいエンディングノート

<生きる道しるべに>
 人は必ず死ぬ。この事実と向き合い、自分の最期に備えて人生の思い出をつづったり、残される家族への大切な申し送り事項を記したりするノートが、エンディングノートだ。
 「私を安心させるため、夫がエンディングノートを書き残してくれた。それが夫の死後の私の道しるべになっている」。2014年4月に夫を病気で亡くした仙台市青葉区の専門学校講師小松美幸さん(64)=仮名=は、こう振り返る。
 09年夏に何げない会話の中でエンディングノートの存在を夫に話したところ、夫は「ノートがほしい」と美幸さんに伝えた。一回り以上年上の夫は「自分の方が先に逝くだろうから」と常々話し、美幸さんの将来を案じていた。「書いてみたよ」。東日本大震災を経た11年夏、元気だった夫は市販のエンディングノートの全項目を書いて、美幸さんにさりげなく手渡した。
 「前妻の子と仲良くし、助け合って人生を生き抜いてほしい」。美幸さんはメッセージ文を読んで目頭が熱くなった。この日を境に、美幸さんはいずれは直面する夫との別れと向き合う心構えができたという。
 その後に病魔に侵された夫はエンディングノートの執筆を機に、亡くなる1年前に公正証書遺言も用意した。「友人らの醜い相続争いを何度も見てきた夫は、私に迷惑を掛けないよう万全の配慮をしてくれた。エンディングノートや遺言は家族への愛情の証しだと思った」。美幸さんはしみじみと語る。

<法的な効力はなし>
 がんの告知や延命治療、介護の希望、連絡先リスト、借入金、パソコンや携帯電話のデータ処理…。エンディングノートは自分で項目を決めて自由に書いて構わない。ただ、遺言と異なり、法的な効力はない。
 各種エンディングノートは書店で市販されているほか、葬儀社などでも作っている。神奈川県厚木市や新潟県見附市など自治体が作製するケースも増えている。
 エンディングノートを独自に発行している仙台市青葉区のよつば司法書士行政書士事務所の森田みさ代表(52)は、こう助言する。
 「エンディングノートは自分らしい幕引きの指標になる。考えが変わったら、その度に書き換えればよい。家族全員が残される人のことを考えて書くことをお勧めする」

 人生の最期を見据えて、自らの身辺整理や相続準備などに取り組む「終活」への関心が高まっている。仙台圏の最新現場を訪ねた。


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2018年07月05日木曜日


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