宮城のニュース

<岩手・宮城内陸地震10年>栗駒山活動の警戒怠るな 火山防災エキスパートの土井さん、警鐘鳴らし続ける

栗駒山山腹で噴気の温度を調べる土井さん(左)

 岩手、宮城、秋田の3県にまたがり、2008年岩手・宮城内陸地震の震源にも近い栗駒山(1626メートル)で、火山活動調査を続ける研究者がいる。国が選んだ5人の「火山防災エキスパート」に名を連ねる岩手大客員教授の火山地質学者土井宣夫さん(66)だ。地震と火山活動の関連を指摘し、警戒を怠ってはならないと訴える。
 一関市側の登山道に5月中旬、岩手県や盛岡地方気象台、地元消防の関係者十数人が入った。土井さんが指揮を執って年2回、噴気温度や火山ガス濃度を観測する合同調査の一行だ。
 「地表の異常は地下の変化を表している」。そう強調する土井さんは、内陸地震でも揺れの前後に地表の変化を捉えていた。
 栗駒山では1990年以降、火山活動が活発化して火口湖「昭和湖」が白濁し、周辺では樹木の立ち枯れが続いていた。
 ところが2007年、湖の水が突然透明になって植生も回復。地下にあるマグマだまりの圧力が低下し、火山ガスの噴出が減ったことを示していた。
 栗駒山の北東約13キロを震源とする内陸地震が発生したのは、その1年後。土井さんは、マグマだまりからのガスや熱水が地上ではなく活断層に供給されて地震を誘発したと結論付けた。
 同様の地表現象は03年の宮城県連続地震でも観測されている。土井さんは「前兆を捉えて影響を考慮する幅広い視点が、ますます重要になる」と訴える。
 火山観測態勢の弱さが指摘される栗駒山で喫緊の課題は、噴火した場合に備えた避難計画の策定だ。
 防災を担う後進の育成にも精力を傾ける土井さんは「集めたデータを生かせる人材は確実に育ってくれている」と語り、データ収集に現場へと足を運び続ける。


関連ページ: 宮城 社会

2018年07月06日金曜日


先頭に戻る