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<東京検分録>自民の「6増案」 参院選改革問われる良識

 参院選の「1票の格差」是正に向けた公職選挙法改正案の審議が始まった。自民党案は「鳥取・島根」と「徳島・高知」の合区を維持しながら定数を6増する内容。抜本改革とは程遠い弥縫(びほう)策がまかり通るのか。各党の見識が問われる。
 自民案は議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区の定数を2増やし、比例代表は4増やす。比例には事前に定めた順位に従って当選者を決める拘束名簿式の「特定枠」を導入する。合区対象県で選挙区に立候補できない候補を載せ、救済する狙いだ。
 「党利党略」が色濃くにじむ案には、自民党内にも困惑がある。
 来夏の参院選で4選を狙う平野達男氏(岩手選挙区)は「今回は暫定措置。最終的には憲法改正で合区を解消し、1県1代表が望ましい」と言いつつ、「定数増に理解が得られるかどうか。合理的な説明がなければ大逆風を浴びかねない」と警戒する。
 3与野党が対案を出した。公明党は現行総定数242のまま、全国11ブロックの大選挙区制に一本化する。国民民主党は埼玉選挙区を2増する一方、比例代表を2減し総定数を維持。日本維新の会は総定数を24減し大選挙区制を導入する案を示した。
 それでも自民党は譲歩せず、独自案で決着させる戦略だ。対案を巡り審議した形をつくったことで「強行」批判をかわす狙いが透ける。伊達忠一参院議長は野党が求めたあっせん案の提示を拒否した。自民党が数の力で押し切ることを前提にしているようにも映る。中立が求められる議長の振る舞いではない。
 抜本改革が見通せないのは、参院の在り方を巡る議論が深まらないためだ。現行制度で投票価値の平等を考慮すれば大都市の定数は増え、人口減少地域の合区は拡大することになる。
 国民民主党の桜井充氏(参院宮城選挙区)は「格差是正と地域代表の維持は、両立が難しくなってきた。二院制を生かして衆院は人口割り、参院は地域代表と区別してもいいのではないか」と提言する。
 小手先の改革を前に「良識の府」が思考停止に陥ってはならない。
(東京支社・山形聡子)


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2018年07月08日日曜日


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