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<岩手・宮城内陸地震10年>巨大地滑り、眺め 知る 栗原・荒砥沢を研究者ら視察

これまで立ち入りが制限されてきた崖の上の冠頭部南側から行った荒砥沢崩落地の視察=栗原市栗駒
地滑りによって地層が地表に押し出された「擾乱帯」

 発生から6月で10年となった岩手・宮城内陸地震の被災地を、研究者や学生らが回る視察会が7日、最大被災地の栗原市であった。これまで立ち入りが制限されていたポイントを含む7カ所に足を運び、地震の発生メカニズムや学術的価値に理解を深めた。

 日本地滑り学会東北支部、栗駒山麓ジオパーク推進協議会などが主催し、約70人が参加した。国内最大級の地滑り地帯「荒砥沢崩落地」や地滑りによって地層が地表に押し出された「擾乱(じょうらん)帯」、従来は関係者しか入れなかった国有林の工事用道路などを見学した。
 荒砥沢崩落地は崖の上にある冠頭部のうち、進入が規制されていた南側からも視察。これまで見ることができなかった角度から岩肌の形状を確認した。
 土石流で7人が犠牲になった宿泊施設「駒の湯温泉」の跡地も訪ねた。一命をとりとめ、現在は日帰り入浴施設を営む湯守の菅原昭夫さん(63)が「今も山地災害の報道はつらい。10年でいろんなことがあった。周囲の支えのおかげで毎日を生きている」と語り、一行は真剣に耳を傾けた。
 研究室で山地災害を学ぶ弘前大農学生命科学部4年の朝原康貴さん(22)=弘前市=は「被災地のスケールの大きさに圧倒された。菅原さんの話には胸を打たれた」と語った。
 ガイドを務めた東北学院大教養学部の宮城豊彦教授(自然地理学)は「百聞は一見にしかずで、現地を見てもらうことが伝承の近道だと改めて思った。幅広い層の興味を喚起する見せ方や、情報発信に当たる人材の育成を今後も大事にしてほしい」と話した。


2018年07月08日日曜日


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