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ICTでコメ深水栽培 ドコモが技術提供、除草の負担減らし収量アップ

水田を見回る浦山さん(右)と堆さん。センサーが常時、水深などを測定している=4日、宮城県色麻町大

 宮城県色麻町で無農薬無肥料のコメを作る浦山利定さん(64)が「深水農法」に励んでいる。通常より多くの水を張って雑草の発生を抑える栽培法で、NTTドコモ(東京)が東日本大震災復興支援の一環で技術提供した。草取りの負担を減らしつつ、付加価値の高いコメをもたらす新たな一手に、東北農業の活路として期待がかかる。
 7月上旬、ササニシキは深さ約15センチの水から20センチほど頭を出していた。「除草剤を使ったみたいに雑草が生えていないでしょう」。浦山さんがうれしそうに話す。開発したドコモ東北復興新生支援室の堆(あくつ)英明さん(57)も笑顔でうなずく。
 深水農法は、田植えの1カ月前から14〜17センチの水を張る。代かきを3、4度と繰り返し、コナギ、クログワイなどの雑草を取り除く。この間、田は土中の酸素が少ない還元状態になる。稲刈りまで深水を保てば、雑草の種が残っていても、ほぼ発芽しない仕組みだ。
 浦山さんは約20年前から、自然食レストランを営みながら、3ヘクタールの田でコメを自然栽培する。アイガモ農法や冬期湛水・不耕起栽培に取り組んできたが、除草は大きな負担だった。体力的に限界を感じ始めた3年前、深水農法に出合った。
 初めは半信半疑だったが、効果をすぐに感じた。除草作業量はこれまでの10分の1で済んだ。浦山さんの田では10アール当たり収量も30〜60キロ増えた。「雑草に養分を取られない分、稲の成長が良くなった。除草機が入るように広くしていた株間を詰めれば、さらに収量を増やせそうだ」と喜ぶ。
 ドコモはICT(情報通信技術)を活用した農業の普及に取り組む。同社が扱う水田センサーは、深水農法で最も重要な水管理に力を発揮する。農家は携帯端末を通じ、水位や水温の状況をいつでも、どこからでも把握できるからだ。
 色麻町を含む「大崎耕土」の伝統的水管理システムが世界農業遺産に認定されたことを踏まえ、浦山さんは「私にとって深水農法は革命的な技術。現代版の巧みな水管理による栽培法が、大崎耕土から全国へ広まってほしい」と願いを込める。


2018年07月12日木曜日


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