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<石巻・IDF>東北大開発のリチウム電池 来年量産へ 閉校した小学校を工場に改修

IDFが量産するマンガン系のリチウムイオン電池

 自動車用シートカバーなど製造のIDF(石巻市)は、東北大未来科学技術共同研究センター(NICHe)が開発したリチウムイオン電池の量産に乗り出す。広く使われている三元系の材料に代わり、マンガン系を利用して発火の危険性や生産コストを低減。石巻市内の閉校した小学校を工場に改修し、来年に生産を開始する。

 コバルトやニッケルを使う三元系のリチウムイオン電池は容量が大きく高性能だが、異常発熱し発火する危険性があった。マンガン系は容量で劣るが開発から約20年にわたり発火事故がなく、安全性が高いという。
 従来のリチウムイオン電池は湿気を嫌うため、工場にドライルームなど大規模投資が必要だった。湿気に強いマンガン系に着目したNICHeはさらに安全面などの観点から素材改良を進め、ドライルームなしで製造できるようにした。
 NICHeの白方雅人特任教授は「ドライルームが不要になって初期投資が10分の1になり、億単位の年間電気代が減った。安全性が高まり、資金やノウハウのない中小企業でも製造できる」と話す。
 新たなリチウムイオン電池は、東北大発ベンチャーの未来エナジーラボ(仙台市)がみやぎ復興パーク(多賀城市)に設けた製造ラインで試験生産中。IDFに技術移管する形になる。
 IDFは石巻市から校舎などを購入し次第、改修工事に着手する。費用は約15億円で、国の補助金などを活用する。フル稼働時は容量毎時100ワット級の電池を年40万個生産。ピーク時の雇用は約50人と想定し、当面は年間売上高25億円を目指す。
 主な需要は家庭や小規模医院向けの非常用電源、太陽光発電装置と組み合わせた蓄電式の街路灯、通信用のバックアップ電源などを見込む。
 NICHeの長谷川史彦センター長は「大手電池メーカーは自動車や携帯電話向けの大容量化が開発の主流。IDFは既存市場からこぼれた容量の小さい電池を用途に合わせて多品種製造し、新たな市場を切り開くのが狙いだ」と明かす。
 IDF社長の山本憲一石巻専修大教授は「仙台、石巻両地域で一貫生産し電池の地産地消を進める。宮城県発の電池として全国、世界に発信したい」と意気込む。


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2018年07月13日金曜日


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