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<秋田新幹線>新ルート整備 積極的な秋田県、慎重な岩手県 そろわぬ足並み、見通し不透明

秋田県側の山間部で速度を落として運行する秋田新幹線「こまち」=仙北市田沢湖生保内

 JR東日本が検討を進める秋田新幹線の新ルート整備を巡り、秋田、岩手両県の足並みがそろっていない。早期実現を目指す秋田は国に支援を求めるなど積極的に動くが、岩手は過大な負担を求められかねないと慎重だ。沿線自治体などによる整備促進期成同盟会の設立総会を18日に控え、一枚岩となれるかどうかまだ見通せない。

 「整備新幹線の先例のように、地元負担が1割くらいで済むような支援スキームをお願いしたい」
 6月上旬、国への要望活動で上京した秋田県の佐竹敬久知事は石井啓一国土交通相に新ルート整備の促進と財政支援を陳情した。
 在来線の軌道に改良を加えた「ミニ新幹線」の秋田新幹線は、北海道新幹線など整備新幹線の支援スキームに当てはまらない。在来線の整備には国と自治体が費用の5分の1ずつ負担するスキームがあるが、今回の新ルート整備のような防災対策が目的のケースに適用された例はない。
 県幹部は「地元負担はその(1割くらい)辺りが限度」との見方を示す。陳情に同行した県職員は「(国は)『JR東にやってもらえばいい』とでも言わんばかりのけんもほろろな対応だった」と肩を落とす。
 大仙市や盛岡市をはじめ近隣の両県7市町や商工団体が参加を表明している期成同盟会に秋田県は顧問として加わる。6月11日には秋田県の担当者が岩手県庁に赴き、参加を要請した。
 岩手県も事務レベルでは参加を模索してきたが、トップの達増拓也知事は慎重姿勢に終始する。
 22日の定例記者会見ではJR東が黒字企業であることに触れ「力を遺憾なく発揮して迅速に検討し、新ルートの整備が進むことを期待する」とした上で「期成同盟会に参加することがその(JR東が整備すべきだという)考えと合うかどうか検討が必要だ」と述べるにとどめた。
 岩手県はJR東と脱線事故を起こした山田線の復旧でも交渉を重ねてきた。達増知事の発言を知った秋田県幹部は「地元負担ありきのJR東に不信感があるのだろう」とみる。
 秋田新幹線開業時の国と自治体、JR東の事業費負担は表の通り。施設工事費598億円のうち秋田県は実質98億円を負担。車両費はいったん出資した後に全額が県に償還されたこともあり、負担は総事業費966億円の約1割にとどまる。
 岩手県も実質24億5000万円の負担を受け入れている。県の担当者は「期成同盟会の活動が始まれば中抜けはできない。時間短縮や安定運行は岩手のメリットにはならず、慎重にならざるを得ない」と明かす。
 「JR東との関係や負担など難しい判断になるのだろう」と岩手側の事情を推し量る佐竹知事。7月25日からの全国知事会で達増知事に期成同盟会への参加を説得する。
 JR東の深沢祐二社長は3日の定例記者会見で「費用負担がまとまらないうちに『即スタート』とはいかない」と語った。新ルート整備実現へ、秋田、岩手両県の連携が問われている。

[秋田新幹線新ルート整備]防災面の対策や安定運行を目的にJR東日本が事業化を検討している。対象区間は秋田新幹線が走行する田沢湖線の赤渕(岩手県雫石町)−田沢湖(仙北市)間(18.1キロ)。現在の仙岩トンネル(3.9キロ)とは別に全長10キロ以上で直線的な単線トンネルを整備する。概算事業費は700億円。秋田−東京間が7分短縮され、3時間半程度となる見通し。


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2018年07月14日土曜日


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