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宮城の水産加工業者に広がるハサップ 輸出に有利 海外へ販路

ハサップの認定を受けたヤマナカの工場

 東日本大震災で被災した宮城県内の水産加工業者の間で、食品衛生管理の手続きを定めた国際基準「HACCP(ハサップ)」を取得する動きが広がっている。震災後の販路喪失や人口減少による需要縮小を打開しようと、輸出の拡大を図る狙いがある。国は水産業の成長産業化に向け国際的な競争力向上を支援する構えで、取り組みはさらに加速しそうだ。

 石巻市の水産加工会社ヤマナカは今月4日、米国向けハサップの認証を取得した。震災で工場は大規模半壊し、昨年6月にハサップ対応型の新工場が完成。ベトナムやシンガポールなどアジア圏にホタテやカキを輸出している。
 海外バイヤーから、ハサップ認証の有無を問われるケースが多い。認証があると、ハサップが義務化されていない国に輸出する際も事務手続き迅速化などのメリットがあるという。
 同社が目指すのは宮城県産ホヤの米国輸出だ。震災前に年間7000トン超を輸入していた韓国は、東京電力福島第1原発事故後の13年9月から禁輸措置を続ける。新たな販路開拓が喫緊の課題になっている。
 高田慎司代表は「韓国系が集まる米各都市のコリアンタウンにホヤの需要がある。水産物全体の国内市場の拡大が見込めない中、経営を安定させる上でも海外輸出が当たり前の時代になる」と見通す。
 県水産業振興課などによると1999年以降、県内の米国向けハサップの取得件数は28。99〜2012年は年0〜1件だったのに対し、15年以降は4〜6件と増加傾向にある。被災事業者が工場を再建する際、高度な衛生管理基準を取り入れていることも背景にあるとみられる。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)の担当者は「震災で工場が操業休止していた間に販路が他産地に取って代わられたケースがある。国内販路の再開拓は難しい上、人口減少に伴う需要の縮小で事業者は海外に販路を求めている」と分析する。
 国は6月に決定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」に盛り込んだ水産改革に「品質・衛生管理の強化」を明記し、水産加工施設のハサップ対応を促した。輸出の戦略的拡大に向け、予算拡充を含む支援策を打ち出す方針も示している。

[HACCP]食品関連の事業者が、食中毒や異物混入が発生する恐れがある危険要因を自ら把握し、継続的に監視して製品の安全性を確保する衛生管理手法。管理基準やモニタリング方法などを設定する。ハサップ順守を制度化する改正食品衛生法が6月に成立した。


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2018年07月15日日曜日


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