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<変わる小学英語・宮城の教室から>(2)戸惑い 教職員多忙化に拍車

研修会で英語の模擬授業に取り組む小学校教諭ら。指導力向上が急務となっている=5日、仙台市泉区の東北学院大泉キャンパス

 小学校の英語教育が大きく変わろうとしている。2020年度に全面実施される新学習指導要領に基づき、3、4年で外国語活動が導入され、5、6年で英語が正式教科になる。今年4月に移行措置として全国で先行実施が始まった。宮城県内の教室を訪ね、現状と課題を探った。

 県教委が仙台市泉区の東北学院大泉キャンパスで開いた小学校教諭向け英語指導研修会。2日目の今月5日、参加者35人が8班に分かれ、模擬授業に臨んだ。

<趣向凝らす>
 小学6年の授業を想定したテーマは「夏休みの思い出を伝え合う」。各班はイラストを使ったアルバム作りや旅行ツアー企画など趣向を凝らして発表。「I went to〜(〜に行った)」などの表現を児童が楽しみながら学べるように授業案を練った。
 「発表後に『fun(面白い)』『exciting(わくわくする)』などの一言があると良かった」「できるだけ英語で教えた方がいい」。見学した教諭や大学教員から改善点の指摘が相次いだ。
 研修に参加した白石市深谷小の菅原実教諭(50)は「楽しいだけでは英語は身に付かない。目標をしっかり見据えた指導が必要だ」と気を引き締めた。

<「枠」を新設>
 2020年度の新学習指導要領全面実施を控え、各教委は小学英語の指導態勢を強化しようと懸命だ。
 県教委は将来的に各小学校に英語免許を持つ教員を1人ずつ配置する方針で、18年度採用から英語免許取得者を対象に小学校教諭の「英語枠」を設けた。仙台市教委は採用試験で英語力の高い人材を優遇する加点措置を導入した。
 文部科学省の17年度調査によると、中学・高校の英語免許を持つ小学校教諭は全国で約5%しかいない。東北学院大の村野井仁教授(英語教育)は全教科を教える小学校教諭の対応力を評価した上で「前向きな先生と及び腰の先生で(意欲に)差がある」と懸念する。

<30人止まり>
 県内の教室からは高学年の英語教科化に困惑する声が漏れる。「英語が苦手で、不安しかない」と嘆くのは県北部の30代女性教諭。6年担任で「外国語活動」も教えるが、「外国語指導助手(ALT)との打ち合わせの時間も取れず、いつもぶっつけ本番。いまいちな授業を繰り返し、もんもんとしている」とうなだれる。
 県教委のまとめでは、県内公立小教職員の8.2%が16年度、過労死ラインとされる月80時間超の残業をしていた。「朝から、さようならをするまで教室を離れられない」(県南部の40代男性教諭)。時間外は教材研究や学校行事の準備などに追われる中、英語の拡充は教職員の多忙化に拍車を掛けかねない。
 新学習指導要領の移行期間に入った本年度、県内の小学校で英語を専門に教える専科教員は約30人にとどまる。県教職員組合の笹川聡書記長は「このままでは英語嫌いの子どもが増えかねない。英語は免許を持つ教員が教えるべきだが、圧倒的に足りない」と準備不足を憂慮する。


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2018年07月16日月曜日


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