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<ニュース深堀り>負の組織文化見る思い 山形大パワハラ認定

定例会見でセンター長のパワハラを認める小山学長(右)=6月21日、山形市の山形大小白川キャンパス

 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)でセンター長の男性教授が職員にパワーハラスメントを繰り返していたことが、学内調査で認定された。理不尽な隷従の強制は、国内最先端のリチウムイオン電池研究開発拠点で常態化していた。大学は当初から現場の告発を無視し、実態に目を背けてきた。取材は、もはや社会的に許されない「負の組織文化」を見る思いの連続だった。
 「怒鳴る。無視する。話し掛けない。不機嫌になると手に負えない」「スタッフはただの駒。使えなければ切り捨てればいいと考えていたことは、接し方から分かった」「センター長の暴走を止められない」
 取材を始めたのは昨年の夏の終わり。関係者から度々聞いた声は悲痛だった。
 パワハラを受けたり、間近で目撃したりした人の多くは有期雇用だった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した同僚がいても「気に入られなかったら雇い止めに遭う。余計なことは言えない」と証言を拒まれたことも少なくなかった。確証を得るまで時間がかかった。
 昨年の5月と7月には、センターの実態を把握しているかどうかを問う学長宛ての質問書を職員組合が提出した。だが、職場からのシグナルを受けても大学は動かない。組織の意思として、不都合な事実を無視するような対応だった。
 河北新報が昨年10月にパワハラ疑惑を報道しても、大学は「パワハラがあれば処分している。把握していない」(小山清人学長)と事実関係を否定。特別対策委員会を設置して調査に乗り出したのは、職員に向けて「役立たず」などと記したセンター長の書き置きなどの画像を職員組合が公表した後のことだ。
 センターは蓄電関連企業の集積で地域活性化を目指す「飯豊電池バレー構想」の中核施設でもある。大学は2011年、企業での実績が国内外から注目されていたセンター長を招聘(しょうへい)。15億円の建設費のうち7億円は飯豊町が出資した。
 16年1月の完工式で小山学長が「世界トップの研究拠点としたい」と胸を張った通り、センターは順調に成長した。自動車、ロボット関連など多くの企業が加わって、膨大な資金と情報が流れ込むようになった。
 事態の表面化から8カ月以上を経て、対策委は少なくとも3人に対するパワハラを認定した。全員が有期雇用。小山学長は「(退職は)有期雇用の契約に従ってということ。(パワハラとは)直接関係ないと認識している」と語るが、被害を訴えて退職したケースもあるだけに疑問が残る。
 センターが、国内産業の未来にとって重要な役割を担っていることは言うまでもない。ただ、山形大はセンター発の研究成果を誇ることはあっても、そこで働く人々に十分な関心を向けてきただろうか。
 「一流」とされる組織が華やかな実績の陰で人を踏みにじり、破綻する例が後を絶たない。山形大には、真摯(しんし)な反省と自己改革を強く求めたい。(米沢支局・相原研也 山形総局・吉川ルノ)

[山形大パワハラ問題]山形大xEV飯豊研究センターの職員3人が昨年3〜5月、センター長の50代男性教授からパワハラを受けたとして相次いで退職したことが発覚。大学の特別対策委員会が約7カ月間、関係者の聞き取りなどを行い、(1)「ボケが!!」「役立たず」などと記した書き置きを職員の机に残した(2)外部の人の前で「偏差値40」「小学生以下」などと侮辱した(3)事務連絡メールで「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ」と記した−など少なくとも7件の行為をパワハラと認定した。


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2018年07月16日月曜日


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