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<東京検分録>聖火リレー/被災地をだし ごめん被る

 2020年東京五輪の聖火リレーの出発地が12日、福島県に決まった。大会組織委員会は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの「復興五輪」を強く印象付けた。福島の現状や支援への感謝を発信する舞台を設けた形だ。
 被災地では歓迎の声が上がったものの、複雑な思いを抱く人は多いと思う。震災復興を前面に出した大会招致のつじつま合わせにも映る。素直に喜んでいいのか分からない。
 「復興五輪は招致時からの根幹的な願い。大変うれしく思う」。組織委や政府、東京都の代表者らによる調整会議が出発地を了承し、議長役を務めた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は記者会見で喜びを語った。
 被災地には、復興と五輪を結び付けることに違和感を覚える住民もいる。そのことを質問した。
 竹田氏は「本日そういった発言はなかったので細かく存じ上げないが、福島から聖火をスタートすることを全員が賛同したことはお伝えしたい」と述べた。
 竹田氏は東京大会の招致委員会理事長だった。13年9月、福島第1原発の汚染水漏えいの説明が不十分とする海外メディアに「福島とは250キロ離れている。東京は安全だ」と発言し、反発を招いた。
 原発事故から7年4カ月。今なお困難に直面する福島を思えば、歓迎一色とは言い切れない。
 組織委は聖火リレーに先立ち、ギリシャで採火した種火を「復興の火」として岩手、宮城、福島の被災3県で巡回展示する。政府は被災自治体の海外交流を支援する事業「復興『ありがとう』ホストタウン」を実施する。
 聖火リレーをはじめする復興五輪の体裁は整ってきたが、被災地がだしに使われるのはごめん被りたい。宮城県長沼ボート場を巡る会場選定騒動や開催経費の分担問題などなど、たびたび五輪に振り回された。
 五輪開会まで2年となる。聖火リレーが被災地に活力をもたらすことは否定しない。ただ、復興五輪を旗印にした希望や感動の押し付けがあるのなら残念だ。(東京支社・片山佐和子)


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2018年07月16日月曜日


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