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<変わる小学英語・宮城の教室から>(3)人づくり 独自の魅力 公教育で

ゲームを通じて英会話を楽しむ七ケ浜町亦楽小3年1組の児童。町独自の施策でグローバル人材の育成に力を入れる

 小学校の英語教育が大きく変わろうとしている。2020年度に全面実施される新学習指導要領に基づき、3、4年で外国語活動が導入され、5、6年で英語が正式教科になる。今年4月に移行措置として全国で先行実施が始まった。県内の教室を訪ね、現状と課題を探った。

 「世界を見据えて、地域に根差す」。宮城県七ケ浜町が東日本大震災後の町づくりを展望し、重点的に取り組む教育施策「グローカルプロジェクト」の副題だ。「グローバル」と「ローカル」を掛け合わせた造語に、人づくりの理念を込めた。

<ALT中心> 
 目玉は町内3小学校で展開する独自の教育課程「英語コミュニケーション」。文部科学省の特例校指定を受け、全学年で2017年度から本格実施している。
 「Do you like red?(あなたは赤が好きですか?)」。亦楽(えきらく)小(児童250人)の3年1組で5日にあった授業。カードを使って相手の好きな色を当てるゲームで、子どもたちは級友や先生を英語で質問攻めにした。
 町が目指す授業像は「明るく楽しく面白い」「英語嫌いを出さない」。ネーティブスピーカーの発音により親しんでもらおうと、外国語指導助手(ALT)が授業を進め、学級担任がサポートに回るのが特徴だ。

<先取り増加> 
 寺沢薫町長は英語教育の充実を公約に掲げ、15年に初当選した。シンガポールの故リー・クアンユー元首相が英語教育に注力し、世界有数の豊かな国に押し上げた例を挙げ、「東北で面積が最も小さい町の希望は子どもだ。人を育てるしかない」と信念を語る。
 学習指導要領改定を先取りする格好で、小学英語に力を入れる自治体は多い。東北大大学院の青木栄一准教授(教育行政学)は「日本社会が変わり、使える英語の必要性が以前より高まっている。地方に行けば行くほど、民間教育サービスは少なく、公教育への期待が高い」と指摘する。

<小中高連携> 
 蔵王町は本年度、小学校全学年を対象にした独自の教育課程「ざおう英語活動」を始めた。経験豊富な英語専科教員を配置し、ALTを増員するなど手厚い態勢を整えた。
 「国際色豊かな子どもに育てたい」と村上英人町長。先に見据えるのは、パラオのホストタウンとして迎える20年東京五輪・パラリンピックや、訪日外国人旅行者(インバウンド)の受け入れ態勢強化だ。
 白石市では16年度から市内の全小中学校と白石高が連携し、英語力向上に取り組む。小学3〜6年の年間指導計画を作成したほか、授業改善の研修会や相互の授業参観などを実施。山田裕一市長は「古里を大切にし、世界に羽ばたいてほしい」と期待を寄せる。
 「学校教育の質が居住先を選ぶ一つの指標になり得る」と県内のある教育長。人口減少や少子化が進む中、英語教育など独自の魅力を打ち出せるかどうかが「自治体が生き残る上で大きな要素になる」と強調する。


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2018年07月17日火曜日


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