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<地上イージス配備>説明不足 防衛省に不信感 元自衛官や政権幹部、苦言

 秋田市の陸上自衛隊新屋演習場などが候補地に挙がる地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に関し、政権幹部や自衛隊出身者から防衛省の説明不足を指摘する声が上がっている。問題視されているのは、配備プロセスを性急に進める防衛省の姿勢だ。6月の米朝首脳会談後も北朝鮮の脅威は変わらないと、必要性を認める識者らも苦言を呈する。(東京支社・小木曽崇)

<北情勢は激変>
 安倍政権の要である菅義偉官房長官は今月1日、秋田市での講演でイージス・アショアに触れ「県民感情を逆なでしたとの指摘があった。おっしゃる通りだ」と述べた。
 やり玉に挙げたのは、防衛省が6月17日に同市で初開催した住民説明会のわずか4日後の21日、地質調査の入札を公告したことだ。
 政権中枢が戒めることで防衛省の姿勢を引き締める狙いがあったとみられる。湯沢市出身の菅氏が県民感情への配慮を示したことは、理解を得る下地づくりと見る向きもある。
 導入の大義名分である北朝鮮情勢には激変があった。6月12日に米朝首脳会談が実現し、一気に融和ムードが広がった。非核化協議の進展は見通せないが、候補地や野党から不要論が渦巻く要因になっている。
 元陸将の山口昇国際大教授(国際関係論)は「地上イージスを含めたミサイル防衛により、高確率で北朝鮮の攻撃兵器を無力化できる。北が攻撃兵器を持つ動機が少なくなり、軍縮議論にもつながる」と導入の意義を強調する。
 ただ、導入ありきに映る防衛省の姿勢に対しては「地元への根回しが足りず、いたずらに不信感をあおった。大失敗」と手厳しい。
 候補地の住民には「ミサイル攻撃やテロの対象になるのでは」といった懸念が広がる。山口教授は「不安は当然。秋田市を守ることは日本を守ることと同義。防衛省はその努力を惜しまないことを説明しなければならない」と指摘する。

<住民感情乖離>
 「防衛省の考えは『国防は国の専管事項』。配備方針を覆す余地はない」。軍事施設と地域社会の関係に詳しい熊本博之明星大准教授(社会学)は指摘する。
 住民感情から乖離(かいり)した政府の姿勢を挙げ「異論を認めない状況で説明しても住民の納得は程遠い。政府は地元が諦めるのを待っているようだ」と批判する。
 防衛省が地元に説明すべきことは山積する。新装備を運用した場合、どんな環境変化があり、住民生活の安全安心をどう確保するのか。国際情勢を踏まえた新装備の必要性を巡る的確な情報提供も不可欠だ。
 菅官房長官は「地元理解が(導入の)大前提」と強調する。「国策」の押し付けになってしまえば、地元には不信感だけが残る。


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2018年07月19日木曜日


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