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<地上イージス二つの候補地>(上)秋田・新屋演習場/住宅地隣接強い懸念

陸自新屋演習場への配備について答弁で疑問点を挙げた佐竹知事(中央)=10日、秋田県庁

 政府が2023年度の運用開始を目指す地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。防衛省は陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)と同むつみ演習場(山口県萩市、同県阿武町)を配備候補地とし、6月21日に現地調査の入札を公告した。開札の8月2日に向け地元の動きが活発化する中、2地域の現状を報告する。

 「『新屋演習場に配備するのは無理だ』と言った方がいい」。今月10日の秋田県議会予算特別委員会。県議に態度表明を迫られた佐竹敬久知事は「断れば県が交渉相手と見なされず、国は県を無視して進める可能性がある」と返すしかなかった。

 新屋演習場は約1万4000人が住む勝平地区に隣接。住民はレーダーが発する電磁波の影響に加え、事故や基地へのテロ攻撃を懸念する。

 佐竹知事は答弁で新屋演習場への配備に繰り返し疑問を呈したが「直ちに容認する状況ではない」との表現にとどめた。「拒否」にまで踏み込めない苦しい胸の内をうかがわせた。

◎風車妨げに?

 6月1日、県庁を訪れた福田達夫防衛政務官は佐竹知事と穂積志秋田市長に対し、新屋演習場を最適候補地として夏以降に現地調査に入る意向を示した。

 直前に現地を視察した福田政務官はその際「住宅密集地に近い」と述べた。佐竹知事は「近いのは地図を見れば分かる」と不信の目を向ける。

 演習場は面積が1平方キロと狭く、イージス・アショアを住宅地から離そうとすると海岸沿いに立つ風力発電の風車に近づく。風車は大きいもので羽根を含めた高さが120メートルあり、地元はレーダーの妨げになるのではないかと疑問視する。

 6月、演習場内を視察した佐竹知事は「緩衝地帯が設けられるのかどうか。難しい方程式になる」と口にした。

◎苦渋見え隠れ

 勝平地区の16町内会で組織する新屋勝平地区振興会は配備計画に対する意見を各町内会ごとにまとめ、今月25日の臨時理事会で集約した上で態度表明する。勝平台町内会の五十嵐正弘町内会長(70)は「住宅地に近く勝平台は反対だ」と語気を強める。

 防衛省は6月、県議会や市議会、近隣町内会などへの説明のほか、現地調査の入札公告、小野寺五典防衛相の来県と一気に手続きを進めた。開札を控えた今月23日には担当者が、佐竹知事や穂積市長が提出した質問書に回答する。

 13日の県議会閉会後の取材に佐竹知事は「1回の回答で全て明らかになるとは考えられない。これからが本番」と力を込めた。一方で「私が中心になって旗を揚げているようだ」とも漏らした。

 配備反対の市民団体「イージス・アショア問題を考える新屋住民の会」の佐藤信哉代表(57)は「住民を第一に考えれば適地でないのは明らか」と憤る。

 片や沖縄県名護市辺野古への米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設工事は、県や住民が反対しても進んでいると指摘。「それでも今は知事に頑張ってもらうしかない」と複雑な心境を明かした。

<陸上自衛隊新屋演習場>秋田市の海岸から約700メートルの距離にあり、広さ約1平方キロの敷地は南北2キロ、最大幅800メートル。周囲を国道と県道、市道で囲まれている。1キロ圏内に秋田商業高や勝平小などの学校があり、3キロ圏内には秋田県庁や秋田市役所が含まれる。


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2018年07月19日木曜日


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