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<地上イージス二つの候補地>(下)山口・むつみ演習場/見えぬ全貌、募る不安

住民の会の勉強会で配備反対を訴える森上代表=7日、山口県萩市

 政府が2023年度の運用開始を目指す地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。防衛省は陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)と同むつみ演習場(山口県萩市、同県阿武町)を配備候補地とし、6月21日に現地調査の入札を公告した。開札の8月2日に向け地元の動きが活発化する中、2地域の現状を報告する。

 地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地、陸上自衛隊むつみ演習場(山口県萩市、同県阿武町)から1キロ圏内の阿武町宇生賀(うぶか)地区。豊富な湧水に恵まれ、水田が広がる山あいに120人前後が暮らす。
 この地区に暮らして50年以上という農業原スミ子さん(75)は6月17、18日に開かれた防衛省の説明会に2度、足を運んだ。「どんな施設ができるか分からず、説明を聞いても不安。今の環境を壊してほしくない」と思いを吐露する。
 町は演習場から日本海を望む方角に位置し、迎撃ミサイルの発射方向に当たる。「イージス・アショア自体は否定しないが、町の上をミサイルが飛ぶ。制御できない事故が起きれば町が一番被害を受ける」。花田憲彦町長が危険性を指摘する。
 防衛省は全国の自衛隊駐屯地と演習場を対象に候補地を検討し、陸自新屋演習場(秋田市)とむつみ演習場を選んだと説明する。

<人命に関わる>
 町によると、演習場の3キロ圏内に約560人、町役場を含む13キロ圏内には約3400人が住む。花田町長は「人命に関わる。最初から(自衛隊施設に)限定せずに適地を広く検討してほしい」と訴える。
 中国四国防衛局は6月21日、現地調査を行うための入札を公告した。花田町長は「8月2日の開札日を迎えたら後に戻れない。粛々と進められる」と焦燥感を募らせる。
 今月中にも、防衛省を訪れて住民の不安な思いを直接伝える。「開札の先延ばしなどの可能性が低いのは十分理解している。それでも言うべきことを言うのが使命だ」と厳しい表情を見せた。

<賛成の動きも>
 今年1月、萩市民や阿武町民が設立した「『イージス・アショア』配備計画の撤回を求める住民の会」も現地調査の中止を求めている。勉強会を毎月重ね「巨大なミサイル基地が造られれば二度と撤去されることはない」といった見解をまとめ公表している。
 森上雅昭代表(65)=萩市=は「現地調査の一環のボーリングが水源に影響を与える」と主張。「現地調査自体が本格工事の開始であり、適地かどうか調べると言うのはトリックだ」と批判する。
 地元には配備賛成の動きもある。自民党萩支部などの代表が1月に中国四国防衛局を訪れ、むつみ演習場への誘致と国による地域振興策を求める決議文を提出。党萩支部長の田中文夫山口県議は「国の防衛に寄与できる上、多くの隊員に住んでもらえる」と期待を込める。
 イージス・アショアは弾道ミサイルだけでなく、将来的には巡航ミサイルの迎撃にも使われるとされる。「どういう設備なのか不明のまま。まずは内容を明らかにするべきだ」と森上さんは訴える。

[陸上自衛隊むつみ演習場]山口県萩市と同県阿武町にまたがり、敷地は広さ約2平方キロで、日本海までの距離が約10キロ。周囲は活火山の阿武火山群を構成する小火山体。戦後、開拓地としてスタートしたが台風などの災害が相次いだため、旧むつみ村(現萩市)が自衛隊の演習場を誘致した。


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2018年07月20日金曜日


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