宮城のニュース

藻類から石油の回収研究、大幅見直し コスト減進まず 民間参画、農業用に重点

復興プロジェクトとして建設された藻類バイオマスの研究施設。8月以降に新体制の下で活用される=仙台市宮城野区の市南蒲生浄化センター

 仙台市と筑波大、東北大は、東日本大震災の復興事業として取り組んだ藻類バイオマスの共同研究体制を大幅に見直す。市の下水処理施設「南蒲生浄化センター」(宮城野区)で、藻類のオーランチオキトリウムから石油成分を回収する研究の実用化を断念。新たに民間企業の協力を受け、別の藻類から燃料や農業用の培養液などを取り出す研究に方針を転換する。
 市と両大学は2011年から、センターの生活排水を利用し、オーランチオキトリウムなどの藻類を培養する研究を推進。12〜16年度の5年間、国の復興プロジェクトとして総額9億円の補助金が交付され、13年にはセンターの隣接地に共同研究施設が開設された。
 回収した石油成分を下水処理に生かす循環システムの構築を目指したが、研究で雑菌処理や培養コストの削減が想定通りに進まないこともあり、実用化を断念。補助金で整備した施設が残っていて、市が別の藻類を使った実証実験などでの活用を模索した。
 新たな研究には市と両大学に加え、プラスチックフィルム製造販売のパナック(東京)、みやぎ生協、ヤンマーが参画。12年から藻類事業を手掛けるパナックは8月にもセンターにスタッフを派遣し、下水を活用して5、6種類の藻類の培養に着手する。
 大学側の助言を得ながら、バイオ燃料や農産物の生育に役立つ成分の回収を図る。発電燃料としての活用に向け、ヤンマーが成分を分析・評価し、みやぎ生協が運営する施設での利用を目指す。パナックは農業分野での活用策を探る。
 関係企業は20年度まで実証研究を継続し、事業化につなげたい考え。当面は民間資金で研究を続け、市は新たな国の補助金の活用も検討する予定という。
 実用化を断念した藻類から石油成分を回収する取り組みは、15年に仙台市であった国連防災世界会議の主要出席者が研究施設を見学するなど、復興事業として注目を集めた。
 市防災環境都市・震災復興室の担当者は「従来の研究でうまくいかなかった課題を整理し、新たな体制でエネルギーの地域循環を実現させたい」と話す。


関連ページ: 宮城 政治・行政

2018年07月23日月曜日


先頭に戻る