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耳が聞こえないパン職人・羽生さん、塩釜にカフェ 「復興へ諦めない姿見せたい」

客とやりとりする羽生さん(右)。右手前がスイーツ各種、奥のボトルにバラやラベンダーの酵母などを詰めている

 東日本大震災の津波被害からの復旧が遅れている塩釜市・浦戸諸島の人々の力になりたいと、耳が聞こえないパン職人の羽生(はにゅう)裕二さん(34)=仙台市太白区=が塩釜市海岸通でカフェを営んでいる。店の売りは、島の花などを原料にしたパンや菓子。羽生さんは「障害があっても諦めなければできる」と故郷・愛媛の風景に似た島々を思いながら店を切り盛りする。
 カフェ「花薫る喫茶処 蕾(つぼみ)」は今年4月に開店。当初はカウンター6席で、8月にも1テーブル4席を追加する。店内の会話の大半は筆談でやりとりする。
 飲み物のほか、花やハーブが原料の自家製酵母で作る無添加パンや菓子が計約10種類あり、うち数種類をスイーツやランチとして日替わりで提供する。原料に島民が育てた野々島のラベンダー、寒風沢(さぶさわ)島のオリーブ、桂島のつばき油、朴島の菜の花を使う。
 羽生さんは愛媛県西条市出身。生まれた時から耳が聞こえない。両親も同じで「音のない世界が普通」という。2010年12月、結婚を機に愛媛から仙台市に移住。12年から市内のパン屋で修業した後、開業につなげるため塩釜市の障害者就労支援施設で働いた。
 震災から6年後、休日に訪れた浦戸諸島で衝撃を受けた。復旧工事が進まず、島民が暮らしの不便を強いられていた。「本土と歴然とした格差がある」。島の復興推進と社会的弱者の雇用創出を目指し、17年春に「浦戸の花物語プロジェクト」を始め、現在はカフェを活動拠点にしている。
 インターネットのクラウドファンディングで資金を調達し、島の原料を生かした商品開発の設備導入などに充てた。店の経営が軌道に乗れば障害者らを雇う方針。「故郷を思わせる浦戸諸島のことを知ってもらうきっかけもつくりたい」と意欲的だ。
 来店客には障害のある家族を気に掛け、羽生さんに相談する人もいる。「そういう人たちの力になれる店にしたい。障害を理由に諦めなければやりたいことができる」と力を込める。
 店は午前11時〜午後5時。月曜定休。臨時休業もあり、会員制交流サイト(SNS)で確認が必要。


2018年07月23日月曜日


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