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<西日本豪雨>ごみの山、舞う砂ぼこり・・・「日常が全てなくなった」倉敷・真備町ルポ

水に漬かったごみが積み上げられた沿道=21日午前9時30分ごろ、岡山県倉敷市真備町川辺

 西日本豪雨の大雨特別警報の発令から2週間たった岡山県倉敷市真備町地区を歩いた。乾いた泥と舞う土ぼこりで白くなった町には、家々から運び出された廃棄物がうずたかく積み上がっていた。(報道部・樋渡慎弥)

 夏の日差しが注ぎ始めた21日午前7時半。地区を通る国道486号沿いで、災害派遣の自衛隊員らが重機に乗り込み、廃棄物の処理作業を始めていた。
 廃棄物の高さは3〜4メートルで、崩れる恐れもありそうだ。清掃車に次々と廃棄物を投げ入れる隊員らの傍らを、土ぼこりを防ぐために四国から派遣された散水車が行き交った。
 国道につながる真備町川辺の道沿いは、住民らが運び出した廃棄物で埋まっていた。延長100メートル以上、高さ約2メートル。住居の柱や扉、断熱材などが目立つ。
 真備町地区では1200ヘクタールが浸水し、約4600世帯が被災した。岡山県内で発生した災害廃棄物のほとんどが集中しているとみられるが、全体量さえ把握できていない。処理は緒に就いたばかりだ。
 気温は30度を優に超えた。ホースで水をまき、敷地の泥を流していた会社員近田光夫さん(62)。自宅は2階まで浸水した。約40年前に入った住宅メーカーの先輩の言葉を思い出したという。
 担当が真備町地区に決まると、先輩から「覚悟しておけよ」と声を掛けられた。入社前に地区は浸水被害に遭い、顧客の家にボートで飲み水や食料を運んだ経験を聞かされたという。
 「被害に遭ってその一言がまざまざとよみがえった。まさか本当に浸水してしまうとは」と苦笑した。
 ボランティアの到着を待つ無職五藤勝博さん(76)も、約50年前に建てた自宅が2階まで水に漬かった。1階は土の壁が崩れ、残った竹の骨組みの間から夏の日光が漏れていた。
 32枚の畳をはじめ、4人の孫が泊まりに来るたびに使っていた夏冬用の布団10組が全て駄目になった。自宅に住めず、市内にアパートを借りた。そばにいた妻の静代さん(70)は「箸すら買い足した。日常が全てなくなった」と嘆いた。
 20日夜に真備町地区を訪れた際、どの住宅も玄関や居間、2階の窓を開け放っていた。内部から家具類の一切が消えた家々が、暗闇に浮かび上がっていた。


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2018年07月23日月曜日


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