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<模索する史都・多賀城市長選>(上)現地再建のひずみ/震災前より住環境悪化

山積みになった金属くず。遮る壁よりも高く積まれている=多賀城市宮内1丁目

 東日本大震災で被災した住宅地などの現地再建を進めた多賀城市は、他の自治体に比べて復興が進んでいるとされる。ハード事業の終了が見えてきたが、生活環境などを巡り一部の市民から不満の声が上がる。復興後を見据えた産業や文化の振興、少子高齢化対策など新たなまちづくりの視点も必要になっている。任期満了に伴う市長選(29日告示、8月5日投票)を前に、課題を探った。
(多賀城支局・高橋秀俊)

<粉じんや騒音も>
 仙台港に近く、震災で大きな被害を受けた同市宮内地区では、工業地域を区画整理で現地再建した。住宅が建ち始めた今になり、住民から不満が出ている。
 宮内地区は、工業地域の北側を囲む三方が工業専用地域となっている。地区西側にある資源物置き場が震災後、1社から3社に増えた。金属くずの山が目立つようになり、住民は粉じんや騒音、振動の被害を訴え、二重窓にする人もいる。
 宮内地区で板金業を営む松元久則さん(47)は「内陸移転を考えたが土地代が高く断念した。周囲を盛り土して植樹するというので残ったが、盛り土は当初より低くなった。洗濯物が外に干せず、震災前より環境が悪化した」と言う。
 宮内地区北側に隣接する明月地区に住む無職大橋久義さん(66)も「震災がれきの処理と思っていたら、いつまでも、県外のトラックが出入りしている。粉じんが飛ばないようにしてほしい」と訴える。

<補助金継続訴え>
 宮内地区から約1.5キロ離れた八幡一本柳地区には防災拠点と産業振興機能を備える「さんみらい多賀城・復興団地」ができ、11事業者の進出が決まった。本年度は防災備蓄倉庫やイベントスペースを設ける予定で、着々と整備が進む。
 宮内地区には、より内陸にある復興団地に「住宅地を移転できたはずだ」と憤る住民もいる。
 市幹部の一人は「地元に愛着のある人もいて、親しんだ土地を出て行けと言えず、現地再建になった」と言う。市環境課の担当者は「(資源物置き場の)業者の対応に法的問題はなく、山を低くするなどの協力を求めている」と説明する。
 災害公営住宅は計画した4カ所計532戸が完成し、入居を終えた。市社会福祉協議会などが担った見守り活動は来年度から、住民が引き継ぐ予定だ。
 活動補助金が打ち切りになるため、住民から「さまざまな事情を抱えた人がいて、通常の活動よりも大変。意欲を保つためにも継続してほしい」との声が上がっている。


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2018年07月25日水曜日


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