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<再生のキックオフ>Jヴィレッジ人模様(中)にぎわい取り戻して

農地に近いのり面で、復興支援の草刈り作業を行う増田さん=福島県楢葉町

◎元東京電力マリーゼ選手 増田 亜矢子さん

 東京電力社員の増田亜矢子さん(42)は、Jヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)を本拠地とした東電マリーゼ(休部中)の元ゴールキーパー。福島第1原発事故後、広野町などで復興支援業務に携わった。6月下旬、グラウンドを望む場所に立った。
 関東から訪れた社員を案内し、共に周辺の草刈りをした。
 「素晴らしい芝が戻っていた。引退後、全くしていないサッカーを、またやりたくなりました」
 神奈川県出身。強豪日テレ・ベレーザから出場機会を求めてYKKAP東北フラッパーズ(大崎市)に移籍した。チームは間もなく東電に移管。2005年にマリーゼが発足した。Lリーグ(現なでしこリーグ)1部でレギュラーとして1年目から活躍した。

<誇り持ちプレー>
 「驚いたのは観客席で声援を送る人の多さ。注目度が以前のチームと違う。休みに近隣で買い物中、よく声を掛けられました」
 東電がグループを挙げて応援。地域はマイチームとして温かく見守った。
 「サインは、特定の選手ではなく『全員分をください』なんです。控えを含め、全選手が誇りを持ってプレーしていました」
 09年で引退。半日勤務だった広野火力発電所(広野町)で終日仕事をする日々が始まった。チームは順調に成長。「優勝を狙える」という時に原発事故は起きた。
 「苦しい時に支えてくれたのが地域の皆さん。(原発事故が)その生活を奪ってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
 いわき市に置かれた広野町仮役場に詰め、町の支援を担当。役場が町に戻ると、帰還する町民の自宅の片付けや行事を手伝った。
 厳しい言葉を直接向けられたことはない。「東電は嫌いだけれどマリーゼは好き。頑張って」。そう言われて複雑な気持ちになった記憶がある。

<声援への恩返し>
 11年夏、ホームだったJヴィレッジスタジアムの芝に砂利が入り、社員宿舎のプレハブ建設が始まった。
 「見た時は『うちらのグラウンドに何をしてくれてるんだ』と感じました。汗と涙の青春の地。今は『なければ収束作業は遅れていたはず』とも思います」
 常に「地域の復興」を考えている。今月の人事異動で、東電が廃炉方針を決めた福島第2原発勤務となった。担当は地域支援だ。
 「選手時代にもらった声援にお返ししたい。目の前のことを覚悟を持ってやっていくしかない」
 再開するJヴィレッジに望むことは?
 「まずは昔のにぎわいを取り戻し、次に地域のハブ(拠点)になってほしい。訪れた人がそのまま帰らず近隣にも回る。そんな波及効果を生む役割を担ってほしいですね」


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2018年07月25日水曜日


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