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<南相馬・小高>避難指示解除2年 地域再生へ整備急務、生産年齢人口の帰還増が鍵

12月のオープンを目指すスーパー「小高ストア」=南相馬市小高区上町

 南相馬市小高区は、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示がほぼ全域で解除されて2年が経過した。居住者は6月末現在で2832人。住民登録者(8313人)に占める割合は34.1%に上昇した。ただ65歳以上が約半数で、生産年齢人口の帰還や居住を増やす方策が鍵となる。

 2016年7月12日の避難指示解除後の居住人口と住民登録の推移は表の通り。登録者の減少が続いているのは、行政サービスを受けるため、避難先の同市原町区や市外に住民票を移しているとみられる。
 小高商工会によると、飲食店など290の会員事業所のうち、地元に戻ったのは30ほど。100事業所以上は区外で再開したという。平田広昭会長(69)は「地元で再開した人たちが『戻ってきて失敗した』と言うことないようにしたい」と力を込める。

<公設民営型の店舗>
 住民の暮らし再生に向けては、市が公設民営型のスーパー「小高ストア」を建設中。事業費は3億円で12月のオープンを目指す。
 小高区役所南側には来年1月、国の交付金約17億円を活用した復興拠点施設が開所する。敷地約5900平方メートルに、天然芝グラウンドや屋内遊び場、子育てサロン、地域マルシェ、飲食店などを整備し、交流人口の拡大を図る。
 基幹産業だった農業は高齢化や後継者難から営農再開を諦める例が多い。東日本大震災前に1192ヘクタールあった水稲面積は、昨年が21ヘクタール、今年が62ヘクタールにとどまる。
 注目されるのは、七つの営農組織が昨年1月設立した株式会社紅梅夢ファームだ。人のやりくりや農機具の共有、独自の販売ルート確立などに取り組む。

<農業新会社に注目>
 今年は水稲約25ヘクタールに加え大豆や菜種、タマネギを生産。新卒の高校生らを採用した。佐藤良一社長(64)は「大型農機具やコメの乾燥施設不足など課題はあるが、採算が取れてしっかり給料をもらえるとなれば、帰還者も増えるはずだ」とアピールする。
 医療ではこの2年間で方向性が転換した。震災で被災した99床の市立小高病院を無床の診療所にする計画が一転。今年1月の市長選で、「入院機能再開」を掲げた門馬和夫氏が初当選し、市立病院改革プラン策定委員会などで練り直しの議論を進める。
 小高病院の西谷地勝利事務部長は「帰還世帯は高齢の夫婦や単身が多い。医師や看護師が不足する中、いざというときの安心のため地域包括ケアシステムなど早急に支援体制を構築しなければならない」と話す。


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2018年07月26日木曜日


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