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<沸き立つ北上 東芝メモリ進出>(下)危機感/人材確保へ 各社懸命

企業と高校の担当者が顔を合わせた求人情報交換会=北上市

 北上市に進出する半導体大手東芝メモリ(東京)が来春、新規採用する高校生は290人。ガリバーの出現に、地場企業の人事担当は「従来とは状況が一変した。厳しい」と渋い表情を浮かべた。

<バブルに匹敵>
 5日の花巻・北上地区高卒求人情報交換会には岩手県内34校の進路担当教諭が招かれ、花巻、北上両市に拠点を置く計126社がアピール合戦を繰り広げた。
 ある高校の進路担当は「バブル期に匹敵する動き。東芝メモリさまさまだが、これだけ選択肢があると高校生に選べるかどうか」と苦笑した。
 北上公共職業安定所管内の高校生で、就職希望は335人。これに対し、管内求人は897人(6月末現在)と売り手市場で推移している。
 「仕事を取るより、人材確保に軸足を置かなくてはならない」。産業用ロボット部品を手掛ける精密部品加工のアイオー精密(花巻市)は、鬼柳一宏社長自ら人材確保の先頭に立つ。
 製造工程をロボットや自動装置へ順次切り替え、PRに努めている。鬼柳社長は「給与など条件面で大手企業に太刀打ちはできないが、自宅からの近さなどを訴えてどれだけ差を埋められるかが鍵」と語る。
 人手不足は非製造業も変わらない。花巻温泉(花巻市)の人事担当は「長時間労働のイメージが先行している。今、人材を確保できないと2、3年は厳しいだろう」とみる。
 初任給を引き上げ、独身寮の整備にも着手。「少しでも興味を持ってもらいたい」と知恵を絞る。

<「情報早めに」>
 世界的企業の誘致は地域経済を底上げする一方、地場企業の体力を奪いかねない。人手不足に危機感を抱く官民は12日、北上市内で情報交換会を開いた。
 「人手が足りず、高校訪問すらままならない企業もある」「地元企業の情報は早めに1年生の時から提供してほしい」。市や岩手県、北上職安、地元経済団体の幹部が連携強化を確認した。
 地域産業論や中小企業論が専門で、市の産業振興アドバイザーを務める関満博一橋大名誉教授は「誘致企業に対する行政の支援は行き届いているものの、地元創業が少ない」と指摘。「制御技術など不足している重要分野もあり、地域の内発的な展開力が求められる」と助言する。


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2018年07月28日土曜日


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